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#107 トドラ峡谷にて出産パーティーに招かれる!🇲🇦

8/29 ノスタルジックな町/出産祝宴パーティー参加
8/30 ティンジルへバスチケットを買いに行く/再度祝宴パーティー


トドラ峡谷は水を一滴も無駄にせず、水路が行き渡っていて、畑を歩いてみるとそのことがとてもよく分かり、そして興味深かった。細道を進んでいくのは冒険感覚に近く、子どもたちが冷たい川で泳いでいたり、釣りをして遊んでいた。無花果の実を餌にして大きな魚を釣っている少年もいた。釣り上げたその魚の大きさに驚いた。今夜の彼の家の夕食に並ぶのだろうか。この村も経済的には良くないようで、多少、子どもたちから施しを求められることもあった。

夜、ホステルに戻ると何やら騒がしい。客間には村長さんと思わしき長老から若者まで、たくさんの近隣住民がこのホステルに集まっている。帰ってきた時、自分は状況が掴めなかったが、グーグル翻訳を使ったり、身振り手振りで「何の集まりなの?」と問うと、「今日、ここの家族に新しく赤ちゃんが産まれたんだ!」と返答がきて納得した。自分はとても場違いなので最初、固辞しようとも思ったが、オーナーのご厚意で祝いの席に同席されてもらうことになった。客席には20人以上いるだろうか、ソファーに座って談笑している。考えればモロッコの出産パーティーに居合わせるのは滅多に出来ない経験と実感し、招いてくれたことをありがたく思った。
まず初めに手を清めるため、薬缶から出された水で手を洗う。水は受け皿に収まる。初めて見るものだった。そして最初に出てきたのは、牛肉や野菜が乗せられたクスクスだった。これを皆んなで囲んで食べていく。クスクスはチュニジアで食べたことがあるが、このクスクスはチュニジアで食べたものよりも水分を含んでいて食べやすく、そして美味しかった。
次の料理は牛肉の煮込みが出てきた。パンと一緒にいただく。黒くて甘い実と共に肉がほろほろになるまで煮込まれていて、これまた絶品だった。自分は彼らと同化して、右手を使って食べていくが、ここで改めて彼らに掴み方を伝授してもらった。人差し指と中指でパンを抑え、親指を使って具を掴むのが正解らしい。自分としては牛肉が熱すぎて触れたものではなかったが。
そしてアクセントのオリーブが美味い。この世界一周の旅に出て良かったことの一つは、オリーブの実の美味しさに気づけたことだ。
全員が腹も膨れた頃、果物が出てくる。メロンにぶどう、そしてりんごが山盛りになって出てきた。「遠慮するな、食え食え」と年配の人から促されたのでメロンを頬張った。これも甘くて美味しかった。お腹いっぱいだった。
デザートを食べ終わると、村の皆んなはオーナーに挨拶をして帰っていった。

こんな容器で手を清める
クスクス!
皆んなでいただきます!
肉が柔らかくて最高!
デザートのメロンも甘い🍈

翌日は遅く起きた。
朝食を食べて、モロッコからスペインに船で渡る方法を調べたあと、明日フェズに向かうためのバスチケットを購入する為、ティンジルの町まで乗り合いタクシーで20分ほどかけて下って行った。片道7ディルハム(100円)。因みにトドラ峡谷からティンジルまではトレッキングも楽しめるそうで、四時間の道のりだという。
二日前トドラ峡谷に来た時は、定員オーバーのバスに立ちっぱなしだったので外の景色が見えなかったが、今初めて景色を見ると若干の違和感を覚えた。その理由はすぐにわかった。
日本では通常、山は草木の緑色に覆われていて、山の麓に集落が形成されているのが普通だが、ここは茶けた山肌がむき出しで、山の麓に草木がオアシスのように存在しているので、色合いが逆転しているのだ。面白い景色だな、と流れる車窓を見ながら思った。

カスバの集落が点々としている。
色の対比

途中でタクシーの運転手が交代した。興味深く観察していると、自分に気づいた一人の乗客が説明してくれた。
「モロッコではタクシーの貸し借りをするんだ。この車は彼の車で、さっき運転していた人に貸していたのさ。日本じゃあり得ないだろう?」
説明を聞いて「あり得ないね」と答える。

バス会社のカウンターは閉まっていた。近くにいた人に「何時に開くの?」と聞いたら「午後3時半」という。一時間ほど時間があったので近隣のレストランでチキンタジン鍋を頼んで昼食とした。スプラツアーズバスのカウンターは時間丁度に開き、「エルラシディア経由、フェズ行き」のチケットを計270ディルハム(3912円)で買うことができた。今日の目標は達成した。


日焼け止めがもうすぐ使い切るのを思い出し、個人商店を見て回ったが、日焼け止めはなく、聞けば薬局にしか売ってないらしい。近くの薬局に行こうとしたところ、土産物屋をやっているという現地人にずっと付き纏われて面倒くさかったので、奴がよそ見をしている隙を見て逃げ出し、トドラ峡谷行きタクシーに乗って帰った。

トドラは有名なロッククライミングの聖地でもある
練習している人

ホステルでは今日も祝宴だという。今夜もまたご馳走に与った。「モロッコでは何日間祝宴をするの?」と、近くにいた若者に尋ねると、「1週間続くよ!」という答えが返ってきて驚かずにはいられなかった。大勢が一堂に会する時、男女は分けるらしい。この部屋には確かに男しかいなかった。
続けて小声で、「君はお金(ご祝儀)はどのくらい渡すの?」と聞いてみた。昨日に引き続き招かれた手前、自分も渡す必要があるからだ。しかし、彼から返ってきた答えに拍子抜けさせられた。
「3ディルハム(43円)だよ」
一瞬、聞き間違いかと思ったが、本当に3ディルハムだという。そんなのただ飯も同然ではないか。
そうしているうちに料理が回ってきた。今夜もクスクスで始まったが、二品目は串ケバブだった。鶏肉やセンマイを串に刺したケバブが振る舞われた。香ばしくてそれが食欲をそそった。三品目は昨日と同じ牛肉の煮込み、そしてデザートの流れだった。
こんなに豪勢な食事を二日間いただいて若者と同じ3ディルハムというのは流石に申し訳ないので、ニューベイビーのお祝いも兼ねて、オーナーに200ディルハム受け取ってもらった。

現地の暮らしを体験でき、とても記憶に残る滞在になった。

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