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#81 ヨルダンの港町アカバに延べ一週間滞在🇯🇴
7/6〜8、7/11〜12、7/15〜16
ハイライト:カリフォルニア出身イアンたちと深夜飲み🍻
無事ヨルダンへの入国を果たし、この国唯一の海の玄関口アカバへとやってきた。一言でいえばただ暑いだけの街である。特に夕方は紅海からの熱風がきつく、街全体がドライヤーの中にあるかのような気温になる。ダイビングを目的とする人にとってはそれなりに楽しめるところなのだろうが、自分は今回ダイビングはパスしたので特段やることもない。街の景観としては街の郊外から、海沿いにある第一次大戦当時に掲げられた巨大なアラブ反乱旗にむかって緩やかなすり鉢状になっている。海岸沿いを貫く道路を越えれば、商店街が立ち並んでいて、商品は中国から輸入されたであろう衣服や靴、玩具が所狭しと並べられている。
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観光客泣かせなのはアラビア・インド数字である。地元民向けの値札はほとんどが我々に馴染みのない文字で書かれているので、アラブの国を訪れる際には0〜10までの数字を覚えていった方がよい。
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今思えばなぜこの暑苦しい街に一週間も滞在したのか甚だ疑問だが、イスラエルと比較して飯の値段が安くなったことと無関係ではなかろう。
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2日目の夜、カリフォルニア出身のイアンが話しかけてきた。彼は身長190cm以上あり、大柄なアメリカ人だ。自分が日本人だというと喜んでいた。米軍の関係で学生の頃、沖縄に滞在していたことがあるらしい。現在はサウジアラビアで公的な仕事をしていて、年収は億を超えるというのだから、サウジアラビアという国のオイルマネーの凄さに改めて気づく。今は休暇中でダイビングをしにアカバに来ている。彼の日本語の口癖は「ハイ、ソウデス」という少し変なものだった。
彼がヨルダンの酒を出してくれたので飲んでみたが、度数40%近くありグラスは空けられなかった。夜中10時のことである。彼はアラビア語に多少の心得があるようで、いくつかの言葉を教えてくれた。自分が「これからエジプトにもいくんだ」というと、重要な一文を教えてくれた。
「La Shukuran ha bibi (No, thank you bro)」
である。エジプト人は客引きがしつこいから、この言葉だけはぜひ覚えて行けという。
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別れてベッドで休んでいると深夜0時にイアンが来て、「タケサン、飯食べに行こう!」という。「飯?!フード?いまから?」と聞くと、「そう!」という。これは行くしかあるまい。夜中の飯ほど背徳感の増すものはない。
徒歩で10分ほどのところの店まで歩いて、チキンライスとラムが乗ったライスを注文する。交換したがラムの方が良い味が出ている。正直お腹はいっぱいだったが、なんとか残さずに食べ切った。お会計しようとしたら、もうすでにイアンが済ませてくれていたらしく、彼のご好意に預かることになった。
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次の日はイアンだけでなく、カナダ人19歳のジェジー、そして24歳ヨルダン人のアーメルと一緒に街に出かけた。イアンは26歳だから、恐ろしいことに自分が最年長だった。彼らの方が随分と大人に見える。ジェシーは大学のギャップイヤーを使って旅をしているそうだ。
ここでも全員分の食事をイアンが「サウジアラビアスタイル」といって奢ってくれた。イアン、格好良すぎるぜ。食事の後はビールとナッツ、ジュースを買い込み、夜の海岸に向かい音楽を流しながらこの時間を楽しんだ。
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向こうにイスラエル側の港「エイラット」の美しい夜景が見える。すると、ヨルダン人のアーメルが、
「俺の祖父祖母は向こう側に住んでいたんだ」
という。そして続ける。「先の戦争で、俺の祖母はイスラエル人を二人殺した」と。彼の話し方は、そのことをすごく誇りに感じている様子だ。そもそも、そのことをアーメルが聞かされているということは、彼に話した彼の祖母も母も肯定の立場なのだろう。歴史が絡む憎しみの連鎖は解決が難しい。
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エイラットはアカバから近距離だが、彼はパレスチナ人であるため行けないという。エイラットを遠目で見つめる彼の横顔はどこか悲しそうにみえた。
「たとえ親の仇でも殺しはいけないことだ」と教えられ育ってきた自分には複雑な心境だった。住む世界が違えば、常識も変わるのかもしれない。
彼はダイビングスクールのインストラクターで、大好きな仕事に就けて満足しているという。もっとも、幼少期にダイビングが元で2時間も心臓が止まり、死にかけたことがあるそうだが。その後の話を聞くと、彼自身は進学したかったが、親には働けと言われたとかで、かなり大変な少年時代を過ごしてきたみたいだった。
アーメルの家系を辿っていくと、ムハンマドよりも昔に遡れるらしく、そこから考えれば約200万人の血縁が世界にいるのだという。話の規模がデカ過ぎてあまりピンと来なかった。
そして彼は、コーランの話を聞かせてくれた。イスラム教にとってコーランが全てのようだ。我々の人生に起こること全てがそこには書かれているらしい。
「それは書かれている」
『アルケミスト〜夢を旅した少年〜』に出てくる一節と一緒だ。我々三人は興味深くアーメルの話を聞いていた。
ホステルに戻って朝の3時まで話していたが、流石に眠気に襲われて、自分は皆より先にベッドに倒れ込んだ。
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