見出し画像

2016欧州+ブラジルバレー観戦の旅88~ベウハトゥフへ

最後に向かった場所…
それは他でもありません。
スクラ・ベウハトゥフの体育館。

最後にスクラグッズのお店で
お土産を変えたらいいなーとか、
万が一練習が見られたらなーなんて、
最後の最後まで図々しく
バレーを追いかけて
ここまで来ました。

たとえ何も見られなかったとしても、
もう一度あの建物を見られれば
きっと気持ちの整理もついて、
次への一歩を踏み出せる気がする…
土砂降りの中、
ウッチからバスに乗り1時間、
1ヶ月半前に涙を流しながら
歩いたベウハトゥフの道へ
戻ってきました。

幸運なことに、
チームに詳しい方に
練習時間を教えてもらえ、
その時間に合わせて体育館に到着。

いつもチケット持参で入るゲートも、
今回はスルー。
ロビーにはバレーファンには見えぬ
人影がちらほらみられ、
会場内で何か行われている
雰囲気を感じます。

階段を上がり、
客席へと入っていくと、
その原因が判明。
体育館内、フロアの3分の1が仕切られ、
そこで幼児のサッカー教室が
行われていたのです。
その保護者たちで賑わう客席。
そこに混ざって私も座りつつ、
周囲とは違う方向を向き
練習開始に備えました。


徐々に集まってくるスクラの選手。
試合前に見るような、
仲良しグループに分かれ、
雑談する姿。
いつも気になっていたけれど、
スクラは外国人チームと
ポーランド人チームに分かれるんだな…
2,3年注目して見てきましたが
あまり交流が見られないことが、
ずっと不思議でした。

海外チームの会話は
英語だから?…
でも、どこのチームも
その条件は同じ…
後になって知ることになる
チーム内の確執を知ることなく
選手たちを観察。
もちろん見たかった
リシナツをメインで追いかけました。

オポジットでの1戦を終えて
休養を挟み、
疲れもすっかり取れたような
元気に見えるリシナツ。

ヴラズウィも本調子ではなさそうですが、
練習に参加しています。
ヴィニャルスキの姿は相変わらず見られず、
結局今シーズン、お目にかかれぬまま
終わりそうで残念…。
見たい選手が必ずしも
見られるとは限らず
そこには「縁」があってのこと…
改めてそう痛感するのでした。

序盤は全員で輪になって
ストレッチを念入りに。
途中、カーテンで仕切られた
隣のサッカー教室のボールが
紛れ込んできて、
ちびっこがボールを探す手だけが、
カーテンから覗いています。

子供好きなリシナツは
そのボールを手元に寄せ、
ちょっと隠してみたり…(笑)。
だけど、ファラスカ監督の視線を感じ、
すぐ手放していました。

横2列になり
ステップなどの動きを終えたら
続いてはボール練習。
1対1から始まり、
スパイク、レシーブと
試合前に行うような流れを経て、
最後は6対6。

オポジットがヴラズウィしかおらず
ここでもリシナツは代行。
が、途中、ヴロナもオポジットで入り、
リシナツは通常通り
ミドルのプレーも見せてくれました。

うん、やっぱりこのブロックだわ!!

いつも当たり前のように見られていたけれど、
こうやって改めて見ると
その魅力を再確認します。
練習だけど、最後に見られて
もう大満足。
これで思い残すことはない…

これをずっとずっと忘れないようにと、
心のアルバムにしっかり収めておきました。
これで日本に帰って
苦しくなったときには
思い出して頑張れるようになるはず!と…。


スクラの監督、ミゲル・ファラスカ。
ガラガラ声のせいか、
雰囲気がガサツに見えて、
正直、好印象ではなかったのですが、
この練習を見ていて
すっかり印象が変わりました。

6対6をやっている際に
リベロのPiechockiが
ミスをしたことにより
彼へ集中指導。
声質のせいで怒鳴っているようにも
見えるのですが、
最後には彼に向かい合い、
彼の両肩に手を置き、
「いいか、信じてるぞ…」的な
言葉をかけていたのです。

正確な言葉は分かりませんが、
その姿には選手に対する愛情を感じ、
いい監督だなーと心に沁みます。

マルシャルにも集中的に
指導をしていましたが、
マルシャルは納得できないことが
あったようでしきりに
独り言でなにかつぶやいていました。

ファラスカ監督の熱心な指導を見、
選手の個性も少しずつ分かってきて、
スクラ愛が旅の終わりの今になって
さらに高まってゆきます。

予想外にここで、リシナツの笑顔が
沢山見られたことも大きな要素。
彼の魅力は
十分分かっているつもりだったけど、
こんなに魅力的な選手だったのか…
もっと追いかければよかったかな…と。

ここでの思い出は
旅の終わり、しめくくりではなく、
もしかしたら、
「始まり」だったのかもしれません。
それくらいスクラの応援の気持ちが
高まってしまいました。

一時的なものではなく
あとになっても
心にじんわりとくる
喜びを与えてくれる
スクラの試合、思い出の数々…。
映像だけでは分からない
チームや選手の深い魅力、
それが最高のお土産。

そんな思い出を胸に抱き
雨上がりのベウハトゥフを歩きます。
今回はさみしさを感じることなく、
涙も流すこともなく、
満たされた気持ちで。

明日の出国に向け
新たなエネルギーを
注入してもらい
旅立つ準備が整いました。

89へつづく…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?