TOUR 2022【6】~Katowice対Skra
滑り込んだ会場、ベンチ向かいのVIP席はガラガラで、席番もないためどこに座ってもOKのよう。
と、その前に!
コート上に目を向けずにはいられず、反射的に真っ先にSkra選手たちへ目線ります。
いる! いる! 目の前にいるよー!!
本物だぁーーー!!!
しばらくの間、2次元の世界でプレーを見ていたけれど、やっぱり会場は全然違う。選手の輝き、オーラを直に感じられる…。ここに来てみて味わう生観戦の喜び。あぁ…この輝きを再び感じられるなんて…幸せ!!
ん!? 悲劇の連続?
何だっけ?
そんなことあった!?(笑)
ベンチを離れ一列に整列し始める選手たち…ついに試合が始まります。
2年9か月ぶりの現地観戦。
ポーランドPlusLiga、Katowice対Skra Belchatow スタートです。
今季のSkra、昨シーズンからメンバーがほぼ変わっていないのに、調子が上がっていません。日本でVPNをポーランドにしてアプリPolsatBoxで観ようとしましたが、なかなか繋がらずしっかり見れていなかったのですが、何か噛み合っていない印象でした。何がいけないんだろうか…素人としては疑問だらけ。ウォマチにクォス、ビエニエク。ランザにコーイ、アタナシエビッチ…個々は代表歴のあるいい選手が揃っているのに…。
故に、今回の格下Katowiceとの戦いも決して油断できず、ストレート負けの覚悟も必要だと思うほどでした。
第一セット、案の定、噛み合わないチーム。ここへ来てみて気になったのが、ボールを諦めることが多いという点でした。足や身体が動かない…食らいつく気持ちがない…? セリエを毎週見ていて他のチームだったら拾えるようなディグを見逃したり、いいコースにいるのに上げられなかったりというのがひっかかりました。
もう一点、この距離で見ていると、ウォマチの視線でどこに上げるのかが明白。たまたま私が見た時だけなのか、それにしても想像ができる場面が多いような…。そりゃ、読まれてブロックされるよ…なんて素人が言える立場ではありませんが、私の好きなアタナシエビッチの決定率が上がらないことで、ちょっと責任を擦り付けたくもなるのでした。(ごめんなさい…)
かつては、リシナツとのコンビが最高だったウォマチ。チーム最多得点をミドルに何度も与えるくらいのあの攻撃的なセット…。その印象が強いだけに、なんだか少し物足りなくも思えてしまうのでした。
でも、これで終わらないのが生観戦。ただ近くで見ているだけではネット観戦と同じ…。この苦境をどう変えていくのか…それは客席にいる私たちにも関わっているのです。向かい側にいるSkraのサポータさんたちを見ながら、私も必死に応援をします。1階席にはアウェーのSkraの応援なんて誰もいないけれど、恥ずかしがってはいられない。ここで応援するのが真のサポーターで、これこそ海外バレー生観戦の醍醐味なのです。
ブランクのせいで正直、最初はためらいもありました。でも、目の前の選手たちが声援に応えるように、点数を重ね逆転劇を見せてくれたらもう、躊躇いなんてどこへやら。2年9か月もの間、固く覆われていた自分の殻がバリバリと破られていくのを感じ、コロナ禍で発散する場所がなく溜まっていたエネルギーを大放出!クラップにガッツポーズにバンザーイ!!応援スタイルなんてどうでもいい、気の向くままにアクションすればいいだけ。これが、これこそが、自分の気持ちを最大限に表現できる最高の場所。応援できるこの喜びを、忘れていたこの幸せを、改めて感じました。
人目が気になるシャイな日本人ですが、海外に来るとそれがなくなります。「変な外国人」と思われてていいんです。自分の気持ちをそのまま表現できるって最高!!ブランクがあってそれができるか不安だったけど、全然大丈夫。むしろ、この会場は人も少なく、周囲には小さな子供たちも多くバレーに集中している人が少なかったお陰で、思う存分に発散!!
そんな声援がパワーを送れたのか…
Skraはここ最近にはない好調ぶりで、1セット目の後半からみるみる調子を上げて終始リード。このままだとストレート勝ちであっという間に終わってしまう…もうちょっと見ていたいのに…。贅沢にも逆の不満が沸き起こります。ですが、そのままあっさりと勝利。3-0で試合を終えました。
わずか1時間半弱の観戦…。でも、今のSkraにはこのストレート勝ちがどれだけ貴重なものか、それを思うとこの場で勝利を見ることができてこんなに幸せなことはありません。しかも大好きなアタナシエビッチが、低迷気味だったアタナシエビッチが、今日は良い活躍を見せてくれた!もしやMVP!?と思えるほどに。
残念ながらMVPはウォマチに譲りましたが、チームも勝利、お気に入りの選手も活躍で、大満足の結果に。
そして試合後には選手との交流もできて、最高の思い出になりました。
ポーランドにしては3000円ほどもする高額なチケット。ですが、1階席で観られる特典は臨場感を味わえるだけでなく、選手の目線も表情もよくわかり、最後にはコート傍で選手との交流もできました。いやぁ、初めて来たけどカトヴィツェの会場ソピエニツェ、素晴らしい!!
改めて、この会場を再開の場所にしてよかったと思いました。
素晴らしいパフォーマンスに、思いのままの応援、そして選手の勝利の笑顔…こんな幸せな時間は、最後の観戦以降、コロナ禍には一度たりともありませんでした。あぁ、ここへ来れて本当によかった…
つい一時間前まで人生最悪の日だと思っていたけれど…
いやいや今日はバレー観戦復活の最高の日!!
この喜びがあればどんな苦悩も乗り越えらえます。
どんな苦労も良い思い出に変わります。
悲劇だって一瞬にしてハッピーエンドの喜劇に替わるのです。
この復活記念の試合は、とにかく何もかもが輝いて見えて眩しくて、私のバレー観戦史上深く記憶に刻まれていく気がしました。
【7】へつづく…