VOLLEY TOUR 2019/20【31】~欧州五輪予選2日目
1月6日(月)
第一試合:セルビア対オランダ
近年、強豪国に対し、
いい戦いを見せるオランダは
もしかするとこの大会で
ダークホース的な存在に
なってしまうのではないか…
試合前、そんな不安もありました。
特にミラノでプレーしているアブデルは
セリエで頻繁にベストスコアラー、MVPを獲得。
彼の怪物ぶりをここで
思い知らされることになるのでは…と
恐れていたのです。
順当に行けばセルビアはオランダに勝てて当然。
ですが昨日の悪夢がそれを邪魔してしまう…。
でも、大丈夫!
オランダはここで初試合、
緊張してるに違いない。
この会場に慣れたセルビアの方が
俄然有利なはず!
公式練習の際、昨日よりも余裕を見せる
選手たちを見ているうちに、少しずつ
安心感を持てるようになりました。
相変わらずリシナツは
ミドルなのにレシーブ練習にも参加。
本当に抜け目ない選手です…。
4年前のリオ予選では腰が回復せず
ほとんどコートに立つことが
できなかったことを思うと、
ここでプレーしていることでもう胸がいっぱい。
この4年間の彼の飛躍を振り返ると
感動のドラマができそうです。
いやドラマができるのは彼だけではない…
アタナシエビッチだって
ひざの手術を経ての快進撃ストーリーを持ってるし、
ペトリッチだって
控えからのスタメン復帰の逆転劇もある。
ポドラスチャニンも2006年からの
代表歴15年の長い物語があって、
コバチェビッチだって
代表内での兄弟愛ドラマが描ける。
それにここに選ばれなかった選手も沢山いて
14人だけでなくこれまでの代表選手
それぞれにそれぞれの物語があっての今…
そんな歴史を思い返していると、
始まる前からちょっとうるうる…
ここから本題…本編に入るのに
内容の濃いプロローグを見た気分でした。
14:00、試合開始。
今日も欧米選手に厳しい時間帯のスタート。
ですが、昨日よりは身体が
目覚めてるように見えます。
昨日のように目を覆いたくなるようなミスは
格段に減って、
セルビアらしいバレーを披露してくれました。
第1セット、
ヨボビッチのサーブから引き離すと
そのままリードで先取。
第2セット、2,3点のリードを守り
終盤でリシナツのサーブから連続得点、
そのまま連取。
第3セット、序盤オランダの反撃に苦戦し
3-6の劣勢から8連続得点で11-7と逆転。
さらにクルスマノビッチのサーブで引き離し、
ルブリッチでマッチポイントを奪って
セットカウント3-0!!
思いは通じ、ストレートでの
勝利を収めることができました。
ふぅ・・・
なんとか夢が繋がった・・・
心配していたアブデルは
思いのほかミスも多くて、
正直、救われた部分は否めません。
韓国で活躍していたターホーストの方が
決定力があった気がします。
あれだけミラノで体を駆使してるのだから
きっと体への負担は相当なんだろうな…
もともとセッターだったにしても
酷使している膝や肩を壊すのは
もはや時間の問題なのでは…
敵ながら、そんなことを心配するのでした。
終了後はオランダのピアッツァ監督が
リシナツ、ペトリッチと笑顔で握手。
そうだ…ミラノの監督の前はSkraだった…。
五輪予選の運命を分ける
重要な試合の後のこのやり取り、
勝敗関係なく笑顔で握手する光景は
スポーツマンシップの潔さを表現する
心動かす光景でした。
勝ちにこだわるあまり、
対戦チームを憎んでしまう
心の狭い私の人間性…
ここでまた反省するのでした…。
試合後、観戦中に仲良くなった
シンガポールの男の子と
試合前にお話ししたおばあさんに
再会の約束をして一旦退出。
近くのショッピングセンターで
軽食を取り、応援疲れもあって
アパートでしばし休憩しました。
第3試合に合わせて再び体育館を訪れると
ちょうど第2試合が終わったところで、
そこには予想しなかった光景が…
フランス対ブルガリア。
なんと、勝ったのは…
ブルガリア。
プールB…
ブルガリアを侮っていたけれど、
ブルガリアこそダークホースだったのか…。
そういえば8月のIOQTでブラジルに
マッチポイントまで奪っていたんだっけ。
あれは単なるホームの利だけじゃなくて
しっかり実力が伴ってのものだったのだと
今更なが気付き、
次のセルビア対ブルガリアが
一気に恐怖になってしまいました。
第3試合は、ホームのドイツ対…
ベルギー。
ホームなのにドイツ人観客は
そんなに多くありません…。
予選だから、準決勝までは
集客も少ないのでしょうか…
大金出してベルリン開催を名乗り出たというドイツ。
これで出場権取れなかったら
大きな痛手になることを思うと
彼らのプレッシャーは相当なものなはず…
ドイツのいるプールAは
ベルギー、スロヴェニア、チェコの4ヶ国。
この試合でベルギーに
3-0で勝利したドイツは
思惑通り準決勝進出を
確実なものにしたのでした。
【32】へつづく…