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パリオリンピック観戦旅4~SRBvsSVN

思いがけず試合前に最高の集合写真が撮れ、来てくれたマシュロビッチと交流できて喜んでいたときでした。
真横で急かす初老の男性1名…手にはスロベニア国旗を持っており、スロベニアのコートをバックに写真を撮るべく、割り込んできました。その横暴さには撮影をお願いしていた会場スタッフさんも驚きの顔。なぜか彼は私たちに、自分の席から離れるように言い、その座席に入り込んで写真撮影。隣には広い通路も、背景にきれいにスロベニアコートが映る階段もあるのに、なぜ…。その行動を理解しようとするのに、頭の中には「???」。思考が追いつかず、言われるがままでした。

彼が去った後、見ていた現地のスタッフさんがこちらへ駆け寄り、「なにあれ…、ひどいわね…」と私たちの気持ちを代弁してくれました。よかった、私たちが間違ったことをしてるわけではなかったのよね…と一安心。そんなひとことのおかげで嫌なことも忘れ、後を引かずに観戦できました。会場のスタッフさんに感謝です。

公式練習が終わり、選手がコートエンドにラインナップ。いつものように国歌斉唱が始まります。
セルビア人ではないですが、国旗を掲げ国歌もなんとなく歌えるようになりましたが、さすがに五輪はそれをやるのにちょっと気が引けます。やっぱり五輪は国同士の闘いという思いが強い…と思ってしまうのです。まだ日本が相手じゃなかったからいいけど、これ、日本相手だったら日本人として真剣に悩むところだっただろうな…と。一見いつもと変わらない国際大会ですが、こういう所に国を背負って戦う五輪の重さを感じてしまいました。

それでも、始まってしまえばもちろん全力でセルビアを応援!

1戦目のvsフランスではフルセットまでいったし(フランスのエンジンがかからなかったというのもありますが…)、スロベニアに対しても直近のVNLでフルセットまで戦いました(スロベニアの疲労で助けられた感大ですが…)。
だから、勝利の可能性はあると思っていたのです。

が、蓋を開けてみれば…
1セット目序盤は一進一退の攻防でしたが、中盤からは離されて失セット。
2セット目は中盤までスロヴェニアのエラーに助けられ一時4点のリードを見せましたが、その後失速…
3セット目も中盤まで競り合っていたのですが、徐々に離され…
結果、あっさりとストレート負け。VNLの疲労をすっかり取り除いて全開でここに立つスロヴェニアには、悲しいかな完敗でした。

特にシュテルンにやられた感。あとパエンクのサーブからの7?8?連続失点…あれは本当にイタかった…。セルビアのレセプションの課題はかねがね思っていたことですが、それでも、昨年に比べればこれでも全然安定したと思うのです…。
隣では、なんでかな…とセルビアの敗北を嘆く友人たち。それはそうです…勝利を信じていたし、彼らのパフォーマンスも伸びしろがあると分かっているのです。もちろん私も勝って欲しい気持ちは山々なのですが、でも、本当にもう、ここに来られただけでも最高に幸せで、彼からが五輪のコートで戦う姿を見られただけで、12年越しの夢に大満足の気持ちの方が大きいのでした。

だから無残に負けたとしても、不思議と悲しい気持ちにはなりませんでした。むしろ、ここまできてくれてありがとう…これがもう限界なんだな…と認める気持ち。そして彼らのこれまでの功績を心から讃えてあげたい気持ち…。
4年前8年前…彼らがピークの姿にここに立てたならば、もっといい戦いができたのかもしれません。そんな時代を経て今、ピークを過ぎた選手たちが戦っているのは本当に奇跡のよう。
そう…私はバレーファンではなく、完全に親戚のおばちゃん(笑)。よく頑張った!よくやったよ!!そう声を掛けてあげたい気持ちでした。

試合が終わると、背中から声を掛けられました。振り返ると元リベロ現アシスタントコーチ、マイストロビッチの奥様。彼女はセルビアのメディアで働いており、今回はお仕事で来たそう。選手のインタビュー前にわざわざ声を掛けに来てくれ、思いがけない出会いに敗北のテンションから逃れられました。
次に控えている試合のために、そそくさと退場させられる雰囲気の会場。退場も一方通行で、すぐに退館し太陽の下に出ました。18:00、まだまだ日は高く、まだまだこの五輪の空気を楽しみたい気持ち。

というわけで、会場の外で思い出作りを…とひとしきり写真撮影TIME

4人で交代に撮影していたら、若い男の子が一人近づいてきて、自ら撮影を引き受けてくれました。おかげできれいな集合写真に。これで私たちにとっての五輪1戦目の思い出が完結しました。

本来だったらこれで帰るつもりでしたが、職場に無理を言ってあと1試合見ることにしておいたので、もう1試合五輪の試合を見られます。

私たちにとって五輪最後の試合、そして2人のセルビア選手にとってもこれが代表最後の試合になることに、この時はまだ気づいていないのでした…。

5へつづく…



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