ベーシックインカムを実現したい
来月、2020年11月。
私バーチャルエコノミスト千莉が主催するオンラインサロンVirtualEconomicThinkTank(VET)が1周年を迎えます。
1周年を記念して、VET内でベーシックインカム(BI)を実装します。
簡単に言えば、VETのメンバーは、何もしなくとも毎月「お金(VET専用トークン)」が振り込まれることになります。
これだけ聞くと胡散臭さが溢れていますが、最新の経済理論に基づいて設計していますので、しっかりと理論的な裏付けがあってのものです。
「コミュニティ内でベーシックインカムを実装する」という試みは世界でもほぼ例を見ないはずです。
VETでは社会実験の一環としてBIプロジェクトにチャレンジしていきます。
試みが上手くいけば革命的ですし、仮に上手くいかなかったとしても、「このパターンは失敗する」というデータが残ります。
これからは、その挑戦の過程を定期的にnoteで発信していきます。
VET式ベーシックインカムの根幹のシステムを理解するためには、まずベーシックインカムの基礎を学ばなければなりません。
そのためにも、本稿では、まずベーシックインカムの基礎を解説していきます。
そもそもベーシックインカムって何なの?
ベーシックインカム(BI)とは政府が全国民にお金を配ることです。
目的は、全国民が最低限の生活を送るのに必要な所得を、政府が保障することとなります。
例えば、日本政府が毎月全国民に10万円を給付するイメージですね。
BIのメリットには格差の是正、幸福度の上昇が挙げられます。
お金持ちの10万円と貧乏な人の10万円では価値が違いますよね。BIにより人々は生活のための嫌な仕事から脱却して、本当にやりたい仕事で自己実現を追求できるようになります。
働く人がいなくならないの?
懸念点として、「労働意欲が低下するのではないか」というものがありますが、これは問題ではありません。
ノーベル経済学賞受賞者のハーバート・A・サイモン教授は、「AI化が進むことで、単純で嫌な仕事は機械が代替してくれるようになる」と説明しています。仕事=嫌なものというイメージは少し古く、これからは楽しく、やりがいのある仕事が溢れることになるでしょう。
・YouTuber
・プロゲーマー
・ストリーマー
これらは新時代に現れた職業の一例ですね。
「ゲームをするだけでお金を稼ぐなんてずるい!」と嫉妬する人もいますが、これは「仕事=辛く、苦しいもの」という価値観が前提にあるからなのでしょう。
YouTuberを見て育った、古い価値観に染まっていないこれからの子どもたちは、「仕事=楽しいもの」という新しい価値観を持っていることでしょう。
実際にフィンランドで行った2年間のベーシックインカムの社会実験では、被験者の労働意欲の低下はほとんど見られませんでした。
私たちも、「毎月10万円給付されるよ」と言われても、それで明日から仕事を即辞めることはありませんよね。
むしろ収入が低い人を守るための既存の制度(生活保護や扶養控除など)は、一定額以上を稼いでしまうと保証が受けられなくなるために、低収入者の労働意欲を奪ってしまいます。
BIならばこの問題も解決可能でしょう。
財源をどうするの?
私は、ベーシックインカムについて議論する際には必要か、必要ではないかはもう古いと感じています。
フィンランドやドイツなど、世界各国でベーシックインカムの実証実験が行われており、多くはプラスの実験結果が出ています。
これから議論すべきは、「ベーシックインカムは必要か?」ではなく「ベーシックインカムをどう実現させるか?」です。
具体的には「ベーシックインカムの財源をどうするか?」が主軸となるでしょう。
現在議論されている案としては、
・所得控除の削減
・社会保障費削減(生活保護、年金等)
・負の所得税
・新規国債の発行
などが挙げられます。
巨大なプラットフォーマーがお金を配る時代?
ベーシックインカムは「国」がお金を配るものとされています。
しかし私は、国ではなく、企業やコミュニティのほうがお金を配るのには向いていると考えています。
「ベーシックインカムの財源はAIが稼ぐようになり、人間はその恩恵により働かない生活ができるようになる」
一般的に言われているこの考え方は間違ってはいませんが、AIが生み出す利益が直接入るのは国ではなくAIを提供する企業です。
資本主義の競争原理に則り、企業はその利益を使って自社のサービスへ集客を考えるでしょう。
その一環がベーシックインカムのような形になるかもしれません。
これからはプラットフォームに貢献してくれた人に向けて、企業やコミュニティが利益の一部を配る形になっていくのではないでしょうか。
私は仮想通貨のマイニング報酬、プレイするだけでトークンが集まるブロックチェーンゲームのような形をイメージしています。
ベーシックインカムの定義からは厳密には外れるかもしれませんが、大切なのは定義を守ることではなく、目的を達成することでしょう。
金銭の配布により、富の再分配や幸福度の向上が実現できるならば、ベーシックインカムの定義から外れても問題はないはずです。
このような点から、ベーシックインカムは国ではなく、企業やコミュニティが主導する方が実現の可能性が高いと私は考えます。
おわりに
「では、具体的にどうすればBIは実現できるのか?」
これついてはまた別の記事にて解説していきます。
ベーシックインカムについて詳しい情報を知りたい方は以下の動画をご覧ください。