『Vtuber学』第Ⅱ部の感想
はじめに
Vtuberについての初の学術書『Vtuber学』第Ⅱ部の感想を書こうと思います。『Vtuber学』第Ⅰ部の感想の続きです。
概要
第Ⅱ部は「調査編」というタイトルで4章から構成されています。第5章は岡本健さんが書いた学術的な知識の構築の仕方と自らVtuberになり、Vtuberを内側から考察した結果、第6章は関根麻里恵さんが書いたVtuberにVtuberを描いたフィクションを関連付けた分析、第7章はリュドミラ・ブレディキナさんが書いた自身がバ美肉おじさんをどのような手法で研究したのかの報告、第8章は池山草馬さんが書いたアバターのユーザーのなりたい自分を表現した側面以外の側面(例えば、ユーザーとは独立したキャラクターとしての側面)となりたい自分を表現した側面との両立という報告で構成されています。
また、それとは別にコラムが四つ掲載されています。
感想
全体の感想
第Ⅰ部が「Vtuberとは何者だ」というVtuberに関する歴史や業界構造などの詳細な説明ならば、第Ⅱ部は「そのVtuberを我々はどうのようにして研究してきたか」の説明だと思います。
第8章の感想
第8章では、ユーザーがアバターを使う場合、第三者が制作した名前が付いたアバターを購入する場合が多い事、そのアバターがユーザーとは独立した創作物、二次創作のキャラクターとして扱われる事を指摘しました。
それはユーザーとは独立した存在だった二次元美少女をなりたい自分として考え、それに受肉するバ美肉とは対照的で、コインの裏表の関係にあると思います。
後、「アバター集会」は特定のフォーマットに沿った(特定の作者が作成したアバターを使う)そのフォーマットを選ぶ事も含めたなりたい自分の表現(そのアバターの改変による)であると同時にそのフォーマットに沿った他者(そのフォーマットに沿う事を選択したが故に自分と同質と判断できる他者)と繋がるイベントと考えても良さそうです。俳句の会みたいに。
おわりに
これで『Vtuber学』第Ⅱ部の感想は終わりです。