「最深日本研究〜外国人博士の目〜」第1回目の感想
はじめに
NHKで4月14日に放送、6月2日に再放送された新番組「最深日本研究〜外国人博士の目〜」第1回目の感想を書こうと思います。
あらすじ
幼少期から日本のオタク文化に親しみ、メタバース文化、バ美肉おじさんをフィールドワークの手法で研究するスイスの人類学者リュドミラ・ブレディキナさん(通称:ミラ)に密着したドキュメンタリーです。
具体的にはミラさんから三人のそれぞれタイプの異なるバ美肉おじさん(あまちじょんこさん、のらねこきゃっとさん、ねむさん)へのインタビューがその内容です。
インタビューの中であまちじょんこさんは素晴らしい女児の声を機械を使わずに出し、のらきゃっとさんは作者ノラネコPとして登場し、「のらきゃっと」をファンが作り上げたもので自分自身ではなく、自分の娘みたいなもので「 のらきゃっと」のお陰で自分の生活が豊かになったと言い、ねむさんは美少女はカワイイが具現化したものでカワイイこそが人間の本質と言いました。
ミラさんは日本人男性はストレスから開放される為に失敗を犯しても許される存在であるかわいい美少女になると結論付けました。
感想
感想と考察
私はこの番組を視聴して、この番組の内容を深掘りしたくなり、色々と考察や別の視点から見たらどうなるかを考えていました。それほどにまでにミラさんの研究は魅力的でした。
例えば、ミラさんは男性の7割が美少女アバターを使うと報告しましたが、逆になんの情報もなしに美少女アバターに受肉した人を見た時に連想するその人の現実での性別は何かを調査しても面白いと思いました。
また、バ美肉おじさんへのインタビューだけではなく、アバターの作者や美少女コンテンツのクリエイターなどバ美肉おじさんの周囲の人達にバ美肉おじさんをどう思っているのかをインタビューしても面白いと思いますし、美少女コンテンツのクリエイターのバ美肉おじさんに自身が体現している美少女と自身が製作しているコンテンツに登場する美少女は同じなのか、それとも違いがあるのか(例えば、作中で美少女にされた事をバ美肉した自身もされたいのか?)を聞いても興味深いと思います。
スタンスの違う三人のバ美肉おじさん
この番組では三人のスタンスの違うバ美肉おじさんが登場しましたが、その中でねむさんのスタンスが私のスタンスに一番近い事が分かりました。
これもミラさんが優秀なインタビュアー、研究者で相手のスタンスを引き出す事に優れていて、引き出した相手のスタンスと自分のスタンスを比べる事を可能にしたからです。
おわりに
ミラさん、NHKのスタッフさん、あまちじょんこさん、のらねこきゃっとさん、ねむさん、素晴らしい番組を提供してくださり、ありがとうございます。
ミラさん、あまちじょんこさん、のらねこきゃっとさん、ねむさんの活動のお陰でバ美肉おじさんは世間に受け入れたと思いますし、自分の本質を投影、受肉した美少女アバターをメタバースに安心してさらす事ができるのもメタバース内に彼女達がいて、彼女達が構築した文化圏が存在するお陰です。
その事には感謝しても、しきれません。
追記
2024年11月2日の再放送を見て、気づいた事。
ミラさんがバ美肉をフィールドワークした根底には個人的には「バ美肉は生物学的女性とは違う」という考えがあるような気がします。
なぜなら、フィールドワークとは自分とは異なるものに対して内に入って研究する手法で自分と同一と考えるものにはしないからです。
もし、彼女がバ美肉を生物学的女性と同一視したなら、フィールドワークせずに女性視点でバ美肉を批評したと思います。
それはバ美肉を初め二次元美少女表象を物理現実女性のアナロジーと捉え、現実女性同様にフェミニズムの視点で分析する従来の手法と比べて、新しい捉え方だと思います。
それを再放送という形で再度見る事で気づきました。