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ABOUT D-DAY TOUR



SUGA | Agust D  D-DAY TOUR についての備忘録




* 以下 引用文は基本原文ママ



概要



✦︎ ステージ概要

* 会場によって演出やステージに若干差有り
* 上記は概ねFINAL基準

   

THE MOVIE 日本パンフレットはステージ図等に関してミスがあるので、恐らくこちらの方が正確だと思われる。照明の色に関しては自信なし


✦︎ セットリスト / ツアー日程

weverse magazine より

* FINAL公演では극야がDear My Friendに変更
* バンコク 6/9、シンガポール 6/16、ソウルFINAL 8/4~6は追加公演

  

ゲスト有り公演
5/11 :Burn It (w/MAX)
5/14:Suga's Interlude (w/Halsey)
6/24:That That (w/PSY)
8/4  :Burn It (w/ジョングク)・Seven
8/5  :Tony Montana (w/ジミン)・Like Crazy
8/6  :Strange (w/RM)・come back to me



D-DAYとは



「SUGAが作った世界に存在するいくつもの自我を、今回の公演を通してすべてをなくして、生まれ変わるんです。ですので『D-DAY』が、すべてが終わる最後の日だという意味にもなり、生まれ変わる誕生日の概念にもなり得るんです」。
ハ・ジョンジェLPによると、「D-DAY」は「終わりと始まりが共存する日」だ。

── weverse magazine

SUGAはこの公演が自身にとってどんな意味になりつつあるのかについて、次のようにまとめる。
「3年間パンデミックによって抑圧されていた、僕の公演に対する情熱と愛が表出できました。この『D-DAY』ツアー自体が、過ぎし日の僕の姿をすべて許す一つの儀式であり、行為ではないかと思います」。

── weverse magazine

アーティストが、"BTSのSUGA" "ソロラッパーAgust D" "人間Min Yoongi"として、デビューからこれまで構築してきた、複数の自我と姿、音楽などをすべてまとめた"総集合体"を見せた後、再び"0(ゼロ)"の状態に戻し、アーティストの本質を見出すことをテーマに表現しました。
公演タイトルの『D-DAY』は、アーティスト最後の日でもあり、本質から生まれ変わる日として、毎公演繰り返されますが、公演日そのものが"D-DAY"であることを表現しました

── THE MOVIE 日本パンフレット



ストーリー



【全体の流れ】
 

「Haegeum」から「The Last」までのセットリストの構成は、「D-100(%)からD-0(DAY)」に到達する過程で、「オープニングは作られている100%の状態だとすれば、公演の後半に行くほど『ゼロ』に近づいていく」という意味を込めた

── weverse magazine

舞台セットとセットリスト共にですが、公演の始まりを"(D-100)100%"とし、公演が進むにつれ"D-0(D-DAY)"へ収束することを念頭に置いて構成しました。視覚的な部分では、最初に完成形のステージが見える状態から、徐々にステージが消え、遂には何もかもが消え去り、公演会場の地面だけが残る。
公演の構成の部分でも、公演の始まりから序盤にかけては、華やかなパフォーマンスでダンサーも使いつつ、エレメントが溢れている構成からスタートし、終わりに辿り着いた時には、アーティストだけが残り、マイクと声だけで公演を締めくくる構成にしました

── THE MOVIE 日本パンフレット
  

THE MOVIE 日本パンフレット
 

*「声と意思」のD-30はパンフレットによるとBurn It にあたるが、weverse magazineを参考に考えると、「声と意思」のパートはShadow~HUH?! にあたるのではないかという気がする。パンフレットは結構ミスがあるので微妙なところ



【章ごとのストーリー】
 

以下 weverse magazine より
 
✦︎ SECTION 1

公演序盤「休む間を与えず、緊張感を最大限に維持できるよう」、「Daechwita」のような華やかで雄壮なパフォーマンスを準備した

✦︎ SECTION 2

2本目のVTR「Kill Them All」を起点に公演の熱気はさらに増し、「公演のために作られたステージも、過去のSUGAが作った多数の自我も燃やした後」、声と意志を見せる流れに繋がる。

✦︎ SECTION 3

アンコール前の最後の曲「AMYGDALA」のステージを終えた後、SUGAはステージに倒れ、ダンサーたちに担がれて退場する。
ハ・ジョンジェLPによると、それは「すべてをなくして死んだ後に、最後のVTR『Re Born』を起点に生まれ変わる」という意味で、以降「D-Day」、「INTRO:Never Mind」、「The Last」に繋がるアンコールセクションには、生まれ変わったSUGAが「一人でもマイク1本を手に歌える、心の内を語る曲」をメインに配置した理由でもある。



以下 THE MOVIE 日本パンフレットより

✦︎ STORY  #1

デビュー前・後の分岐点を基準に様々なSUGA(物語)が完成した。それは本人が選んできたすべて、自分自身が何を求めているか気付いていない状態でも、自分が求める姿のために「再生産」していた時も、SUGA(またはAgust D)は創られた。
それらは各々のアルバムのキャラクター性や、本人が求めていた姿、時には誰かによって作りあげられた姿である。

✦︎ STORY  #2

その様々なSUGAは自分の手元でやがてすべての結末に向かう。(本人の意思で各々の世界を破壊する=世界の終末=D-day)
それはその世界を作ったSUGA本人が求める結末または選択というものが何なのか確信がつかないためであり、まるで陶器のように作り上げ、破り、造り、破る過程を繰り返す。

✦︎ STORY  #3

そんな中、ふとこれを結局SUGAが自ら作り上げた数々の幻であることに気付き(各々の世界に存在していたSUGA)「本体」を認識し本体と結合する(=D-day)
結局この世界を作り上げた本体(世界の「外側」にある)自身が動かないと(選択したいと)と決心、そのすべての世界を超越する。

✦︎ STORY  #4

実際に世界に現像し、実際の舞台(=公演会場+ラフなセッティングの空間と観客だけが存在することを意味する)として表現する。



演出



【ステージ】
 

✦︎ ステージデザイン

「しなやかで華やかな姿ではなく、大雑把に作ったという印象」を与えるよう、ごつごつとした鉄骨構造がそのまま露出した形にデザインした意図について、こう語る。
「概念上のステージ、必要性に合わせたステージを作ってみようと思いました。公演の最後に差しかかった時は、とにかくすべてのものを破壊し、燃やし、なくして、すべて『ゼロ』になった天地のはじまりの状態に戻ったらと思いました」。

── weverse magazine

全体のコンセプトを視覚的に表現するためには、100%完成したステージから0%の何も無い状態にしなければなりませんでした。そもそも、コンサートのステージは、最も華やかでアーティストを飾ってあげる役目を果たすのが本来あるべき形です。しかし、今回は華やかに飾るためではなく、完成から未完成を経て、まっさらにすることを目指して、アイディアを導き出しました。
ステージはアーティストが立つ高さのただの壇上に過ぎないので、その壇上をすべて取り払うための試みをしていく流れで、鎖で繋がれたステージが、空中に消えていく方法を採用することにしました。
アーティストSUGAが、歌手そしてアーティストとしてステージの高みに立った状態から、観客と同じ高さの地面に降りてきて、最後にはすべてを振り払って公演を締めくくる。これが理想でした

── THE MOVIE 日本パンフレット

✦︎ ステージ下の空間の活用

「ステージの下もまた活用できる空間」と考え、「視野が360度開けているという点を考慮」してアプローチしたと話す。
それでダンサーたちは「Interlude:Shadow」でステージの下の会場の床まで活用し、動線のパフォーマンスを行い、「People Pt.2 (feat. IU)」ではSUGAを中心にして、幻影のように回りながら背景を作ってもいる。
要するにそのすべての手順は、解放に向かう道のりの一部だ。

── weverse magazine

✦︎ 公演終了後の演出

「The Last」のステージが終わる頃、スタッフたちが行うステージを撤収するようなアクションも、観客たちに舞台装置を「誰かが作った非自然的なもの」に感じさせ、「非自然的なすべてのものを全部なくしたい」という意味を込めた演出

── weverse magazine

「The Last」のステージ後、SUGAがエンディングのコメントや挨拶なしにすぐに後ろを向き、悠々と退場する演出意図について、次のように説明する。
「歌が終わる瞬間、SUGAさんが退場もしないうちに、すべてのものを切ってしまいます。つまりBGMも流さず、会場の照明もすぐに点けてしまうので、残っている公演の余韻をすべて断ち切ってしまうんです。その時後ろを向いて歩いていく3秒あまりの瞬間が、今のSUGAさんの本当の姿なんです。その瞬間ばかりは会場にいる観客も、スタッフも、SUGAさんも、ただ現実にいる自分になってほしいという願いでした」。

── weverse magazine

✦︎ 最終公演の演出

一番最後の公演のエンディングは、他の公演とは違い、SUGAがドアを開けて退場するシーンを描きました。それまでのツアーでは、公演が終わるとSUGAはアーティストではなく、一人の人間Min Yoongiとして、すべてを公演会場に残して、後ろを振り向かずに退場するコンセプトだったんです。
ですが、最終3日目の演出では、今までの全てのツアーを締めくくる意味を込めて、ようやくSUGAが新たに生まれ変わるために閉ざされたドア(「AMYGDALA」のMVにも登場したドア)を、自分で開けてその中へ退場することで、アーティストのすべての自我を無くし、それを受け入れて生まれ変わる、最後のストーリーを作りました。(中略)
この最後の退場シーンは、公演を作り始める最初の段階からアーティストと描いていた大きな計画で、それを上記のように表現できたので、そこに注目して見ていただけると良いと思います

── THE MOVIE 日本パンフレット

✦︎ 特殊効果

日本公演での特殊効果一覧:

D-DAY JAPAN DVD フォトブック 裏表紙


【各楽曲の演出】
 

✦︎ Agust D, give it to me

「give it to me」のステージ中にスクリーンに映る鎖がかかった手は、「Agust D」でスクリーンに登場する3DモデリングされたSUGAの手であり、「公演をしているSUGAをステージの外で見守っているもう一人のSUGA」がいるという過程の下、「ステージを抜けるのも、ステージに立っているのも、どちらもSUGA自身がやっているというメッセージを伝える」ためだ。

── weverse magazine

✦︎ SDL

時にはステージ下に降りて一部客席からの死角も作り、モニター越しに観るパフォーマンスも本当の自分は、他人からは一部だけしか見えてない、そして見せないということも表現しているかのようだ。

── THE MOVIE 日本パンフレット

✦︎ Dear My Friend

入れ替えた『dear my friends』は、アーティスト自身の個人的なストーリーと気持ちが込められている曲で、韓国語の歌詞に乗せて感情を伝えることが重要な曲だと思いました。最後のFINAL(ソウルのアンコール)公演ならではの選曲として、心を通わせるのにもよりピッタリだと思ったのが理由です

── THE MOVIE 日本パンフレット



【照明と客席】
 

D-DAYツアーのファイナルとなるソウル公演では、客席がSUGA/Agust Dという2つのエリアに分かれていたのも象徴的だった。
また舞台を照らすライティングも2つの自我を表す赤と青が効果的に使われ、客席から見ると2色が融合し紫に見えるギミックも印象に残る。

── THE MOVIE 日本パンフレット

ツアーのフルタイトル『SUGA|Agust D TOUR 'D-DAY'』にも、アーティストのSUGAとAgust Dの2つの名前(公演の内側では本名であるMin Yoongiを含む3つの名前)が記載されていました。
公演のコンセプトと構成にも、SUGAとAgust D両者が入っているので、ポスターで2つの自我を視覚化するために、ビジュアルの要素も赤色(オレンジ系)と青色(ダークブルー)の2色+黒色の3つの色でアーティストの複数の自我を表現し、観客席やエリア別の照明も、上記のコンセプトが生きるようにしました

── THE MOVIE 日本パンフレット


FINAL公演 座席図
サウンドディレクターJin se park氏 Instagramより
バンコク公演



VCR


以下 THE MOVIE 日本パンフレットより


【ストーリー】
 

✦︎ VCR 01 / Opening

雨音と共に霧が立ち込める会場の中、バイク事故に遭って雨が降る道に倒れている(死んでいる)SUGA(Min Yoongi)の姿が映し出される。
VCRでは、3つの人格が登揚。
ピアスをして白い服を着た短い髪のSUGA、ピアスはせず、短い髪にブルゾンを着ているMin Yoongi、傷跡があるパーマへアのAgust D
つまり雨の中、倒れているのはMin Yoongiであると言える。

✦︎ VCR 02 / Kill Them All

何者かにMin Yoongiが拉致される場面からストーリーは始まる。
2017年に発表したBTSの『LOVE YOURSELF Highlight Reel"起承轉結"』に出てきた「Y.K.」と刻印されたライターを手にするのはSUGA。
MVでもたびたび登揚する左目に傷のあるAgust Dと傷のないSUGAの対立も描かれている。

✦︎ VCR 03 / Reborn -Ending

02のVCRで倒れたAgust DがMin Yoongiの姿で起き上がり部屋を出ていく様子を巨大なSUGAが見下ろしている。
そしてSUGAが「Tony Montanaのセイフティーマッチ」で物語が起きていたミニチュアの部屋を、過去を焼き尽くすがごとく燃やすシーンが描かれる。



【コンセプト】
 

✦︎ テーマ

どれもSUGA自身ですが、その姿を作り上げた"本体"、つまり最も根底にある"アーティスト自身"を、今回の公演で見せられるように作り上げるべきだと思いました。
その過程を経た先で、最後には自ら複数の自我を無くし(殺し)、再構築していく姿を見せることで、それを行った"本質"に近づくことができると同時に、新たな自我も表現できると思いました。
ミニチュア化した部屋や、最期に登揚する撮影スタジオも、すべて本人が作り上げた世界であり、複数の自我で、その映像がステージのパフォーマンスにつながっていく仕組みになっています。

✦︎ 世界観

VCRのコンセプトとストーリーを構成していく中で、少し破壊的でダークな方向性になってきたので、そこで全体のジャンルを「ノワール(暗黒)」に焦点を合わせることになったんです。全体的にミステリーでダークなノワールっぽさが出るように意図しています。
雨は、Agust Dのアルバム「D-DAY」に収録された『AMYGDALA』のMVにも登揚するAgust Dの象徴です。そして炎は、BTSのSUGAの世界観でもある"火(ピアノを燃やし、部屋中に火が広がる「花様年華」のイメージ)"を表現し、BTSのSUGAを象徴する2つのシンボルを使って、破壊的かつダークな雰囲気が出るように構成しました

✦︎ 演出

最初のオープニングVCRと、SUGAステージに登揚するシーンはつながりを出しています。
オープニングVCRでバイクの事故に遭ったSUGAの姿を映して彼が死んでいく姿で映像が終わり、その後ステージに倒れた(死んだ)SUGAがダンサーたちに担がれた状態で登揚し、その自我の姿からパフォーマンスがスタートします。
また、VCRの中で壊れたミニチュアや燃えた撮影セットなど、VCRの背景と世界が壊れて無くなっていく様子を公演中やエンディングのVCRで見せながら、公演が進むにつれステージがどんどん無くなっていく演出とシンクロさせました



関連



【関連情報】
 

✦︎ weverse magazine  ワールドツアーリポート
"SUGA、Agust D、ミン・ユンギの解放日誌"


✦︎ VCR


✦︎ VCR  監督 / 写真監督  Instagram
 *note投稿時点で写真監督は鍵アカウント

https://www.instagram.com/p/CrdRVujL08X/?igshid=YmMyMTA2M2Y=

写真監督Instagram投稿 / VCR スタッフクレジット


✦︎ VCR  BGM


✦︎ D-DAY  フォント -ToY


✦︎ 衣装


✦︎ ステージ図
D-DAY in Japan DVD / Blu-ray
フォトブック 表紙と裏表紙より

DVD / Blu-ray
DVD フォトブック 裏表紙
 

THE MOVIE 日本パンフレットより

* 何点かミス有


✦︎ バックスクリーン VJ
motionvisualdesign / 모션이엔티  Instagram


✦︎ ステージ床
床材施工会社 JDDC / 정동디씨  Naverブログ


その他公演関連クレジット

✦︎ デジタルサイネージ
WOOIL SYSTEM

✦︎ ペンライト制御
FAN LIGHT

✦︎ サウンド
Tristar Audio

✦︎ 特殊効果
BLAZE SPECIAL EFFECTS

✦︎ 照明
MOONLITE



【考察】
 

✦︎ ARMYによる考察

* 公式に言及されていないものの中で個人的に気になったのは、Agust D / give it to me のスクリーンの巨大なユンギに不気味の谷的意図はあるのか、拉致という描写とトラウマの関連、中盤ステージの形が十字架型になるところに意図はあるのか、あたり



✦︎ 参考情報

考察ではないが、VJディレクターの過去の展示情報とAMYGDALAのモニターの関連


「マルチペルソナ」は2020年代に入り、全世界で同時多発的に浮上したキーワードだ。(中略)
ポストコロナ時代の到来でアンタクト* 関係と疎通が発展するにつれ、マルチペルソナの表現はさらに活発になっているが、時と場所によって内面の姿を隠さなければならない矛盾した状況に向き合うことになる。結局、一つの自我の中で衝突する多重アイデンティティは亀裂を起こして欠片を作り出す。
イ・ソンファン作家はこのように離れた欠片の中に込められた裏面をメディアアート「割れ」に盛り込んでいる。

── piece of glass 企画文
 

* アンタクト=非対面





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