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貧乏バックパッカーは人生を楽にする訓練だった
1. 計画なんていらない。どうせ崩れる
旅の初めは、ちゃんと計画を立てていた。フライトの時間を調べ、宿を予約し、バスの乗り換えまでチェックする。ところが、予定通りにいくことはほとんどなかった。
飛行機は遅れ、宿の予約はミス、バスは運休。チケット売り場のスタッフに「次の便は?」と聞くと、「さあね」と肩をすくめる。
最初は焦ったが、すぐに気づいた。予定が崩れても、別に死にはしない。むしろ、そういうときに限って面白いことが起こる。
ある日、移動手段を失い、仕方なく街をブラブラしていたら、地元の祭りに遭遇した。最初はただ眺めているだけだったが、気づけば知らない人たちと肩を組んで酒を飲んでいた。
「ここに来たのは偶然か?」と聞かれて、「そう、偶然」と答えると、相手は笑った。
計画通りに進まないからこそ、予想もしなかった経験ができる。
結論:人生も同じで、計画より適応力が大事。どうせ思い通りにはいかないのだから、最初から決めすぎないほうが楽だ。
2. 失敗は失敗じゃない。ただのネタだ
旅ではトラブルが日常茶飯事だった。
財布をすられる、道に迷う、バスの乗り間違えで全然違う町に行く。普通に考えれば「最悪な出来事」だ。
でも、実際に振り返ると、一番記憶に残っているのはそういう「うまくいかなかった日」ばかりだった。
南米で、バスのチケットをなくしたときのことだ。乗れないのは仕方ないとして、次の便がいつ来るかもわからない。途方に暮れていたら、近くの市場の屋台の親父が声をかけてきた。「なんか食うか?」
正直、それどころじゃなかった。でも、座って話をしているうちに、彼が親戚の家に泊めてくれることになり、翌日には親戚の伝手で次の町まで乗せてもらえた。
「チケットをなくす」こと自体はただのミスだ。でも、そのミスがなかったら、俺はその家族と出会うこともなかった。
予定通りに進まないこと、失敗することは、面白い経験につながる。
結論:失敗を恐れる必要はない。むしろ、失敗したほうが人生のネタが増える。
3. 「なくても生きていける」ことを知る
バックパックの中に入っていたのは、Tシャツ3枚、パンツ2枚、寝袋、小さなノートPC。これで2.5年、生きていけた。
シャワーがない日が続いても、人間は意外と平気だ。腹が減ったら屋台飯を食べればいいし、宿がなければ駅や公園で寝ればいい。思っていたより「絶対に必要なもの」は少なかった。
ある夜、宿の予約ミスで泊まる場所がなくなった。仕方なく寝袋を出し、公園のベンチで寝ることにした。夜風が冷たかったが、見上げると満天の星空。宿の部屋にこもっていたら見られなかった光景だと思ったら、なんだか得した気分になった。
旅をしているうちに、「必要なものが少ないほうが、むしろ自由だ」と思うようになった。
これは旅が終わってからも変わらない。収入が減っても、「まあ、屋台飯で生きていけるし」と思えば、無駄に焦らなくなる。物がなくても大丈夫なら、生活コストは下がるし、働くことに必死にならなくてもいい。
結論:人生の荷物を減らせば、もっと身軽に生きられる。
4. どうにかなる、という感覚が最強の武器になる
旅をしていると、「どうしようもない状況」に何度も遭遇する。
バスが来ない、金が足りない、宿がない。でも、そういうときは何とかするしかない。ヒッチハイクをする、適当に誰かに頼る、最悪は野宿すればいい。
追い詰められると、意外と人は何でもできる。
あるとき、タイの離島で所持金が底をついたことがあった。ATMもないし、クレジットカードも使えない。
普通なら絶望的な状況だが、「どうにかなるはずだ」と思って島の人に相談すると、レストランの皿洗いを手伝うことで、食事と船のチケットを手に入れることができた。
旅の中で、「最悪の状況でも、どうにかなる」という経験を繰り返すと、「まあ、大丈夫だろう」と思えるようになる。この感覚があれば、人生の不安は激減する。
結論:「なんとかなる力」があれば、人生はもっと楽になる。
結論:人生を楽にする訓練だった
2.5年の貧乏バックパッカー生活で学んだことは、旅が終わったあともずっと役に立っている。
計画なんていらない → どうせ崩れる。適応力があれば十分。
失敗はネタになる → 失敗を恐れないほうが、面白い人生になる。
なくても生きていける → 余計なものを手放すと、自由が増える。
どうにかなる → そう思えるだけで、不安が減る。
旅をしなくても、この考え方は応用できる。
「転職が不安」「独立するのが怖い」「大きな決断ができない」——そんなふうに思うなら、一度考えてみてほしい。
「計画通りにならなくても、むしろ面白い」
「失敗したら、それはネタになる」
「なくても、どうにかなる」
そう思えたら、人生のハードルは驚くほど低くなる。
何か新しいことを始めるのに、準備はいらない。まずは、一歩踏み出せばいい。どうせ、なんとかなるのだから。