「DIALOGUE+1」の感想のようなもの
DIALOGUE+の1stアルバム「DIALOGUE+1」聴きましたか?
アルバムを聴いた時に思ったことと田淵Pと野島Pのアルバムについて語る配信を見て思ったことを書きます。
配信に触発されて何か書きたい!ってなってnoteにさっき登録しました。
書きたいことしか書かないため全曲には触れないので悪しからず……
感想
1曲目の「Sincere Grace」。
この曲はアルバムの後半に入っている「透明できれい」と共に発売日まで視聴のようなものもなくクレジットすら全く明かされていなかったのでとても楽しみにして聴きました。
淡いぼやけたものがどんどん近づいてきてはっきりしてくるようなイントロ、田淵Pがエレクトリカルパレードのイメージという発言をしていましたがまさにこれがパレードから遠くから近づいてきてパレードの音楽が鮮明になる情景とリンクしました。
きゃにめ特典のInstrument音源を聴いている時に気づいたんですが、0:55あたりのところでオケのピアノのフレーズが「アイガッテ♡ランテ」のBメロの『夢角度を決めた』を彷彿とさせる動きをしているんですよ。
「Sincere Grace」は作曲:田淵智也、編曲:ebaで「アイガッテ♡ランテ」は作曲・編曲:田中秀和(MONACA)と田淵Pが音楽プロデューサーとして監修しているといえどもクリエーターが完全に同じわけではないのでたまたまだとは思うんですが……
声優楽曲以外にも普段クラシックと言われるような管弦楽曲をよく聞くんですよ(唐突な自分語り)
大学入ってからフルートを始めて五線譜の読み方から先輩に教えてもらって〜というような時から4回生の今、一番見ている文書が交響曲のスコアというくらい管弦楽曲にのめりこんでいます(もっと参考書や論文読んでほしい)
交響曲の何がいいかっていうと1曲の中で織りなされる広大なストーリー性なんですね。
ただ1曲で50分は当たり前、長いものは有に1時間を超える交響曲は飽きさせない工夫がたくさん凝らされています。
交響曲が複数の楽章に分かれているのもこの工夫の1つではありますが、それぞれの楽章が独立しすぎたり、連結がぶつ切りになると1つの交響曲として認識できなくなってしまう。
話を戻しますが、田淵Pのアルバムの作り方を聞くにただ雑多に曲を突っ込んだアルバムではなく、言いすぎた表現な気もしますが「DIALOGUE+1」という交響曲を作る作業だったんだというふうに感じました。
こう考えると「Sincere Grace」の「アイガッテ♡ランテ」の引用に聞こえるという点は交響曲において異なる楽章を結びつけるために共通のリズムやメロディを採用する動機(モティーフ)や循環主題というものに通づるなと思いました。
これが偶然の産物だとしても音楽は聞こえて感じたものが全てだと思っているのでとても面白いですね。
この「Sincere Grace」はいわゆる序奏に当たるのでこれからこのアルバムで起こることを示唆しワクワクを煽るような曲でとても好きです。
ものすごく曲が飛びますが、「おもいでしりとり」の次、そして「透明できれい」の前というファンが誰も予想していなかったであろう場所に「20xxMUEの光」を入れたことについて生放送中で「おもいでしりとり」「透明できれい」で感動を畳み掛けてもよかったが1回雰囲気を「20xxMUEの光」でぶち壊したかったという発言がありました。
ここでアルバム「DIALOGUE+1」を交響曲として捉えて考えたときに起こる不思議な解釈ができます。
交響曲は一般に4つの楽章で構成されることが多いんですが、その3つ目である第三楽章はスケルツォと呼ばれるリズムが変則的であったりテンポの速い曲が置かれることがよく置かれます(遅い年代になるとそういった慣習をあえて裏切るために第二楽章にスケルツォを置いた曲も出てきます)
Finaleとなる第四楽章の前にスケルツォが置かれることと「20xxMUEの光」を「透明できれい」の前に置いたこと、この2つに親和性を感じざるを得ません。
スケルツォを取り入れた楽章は三部形式と呼ばれる曲の書き方をされて大雑把に言うと[速い曲-ゆったりした曲-速い曲]というような構成になります。
音楽用語では[スケルツォ-トリオ-スケルツォ]と呼ばれています。
ここでもう一度アルバムを見返してみると、
「アイガッテ♡ランテ」-「おもいでしりとり」-「20xxMUEの光」
これって三部形式っぽくないですか?
微分音があったりラップパート部分のオケの変な動き、悪夢にうなされているような間奏。
色濃いアルバムの中でもかなりの曲者です。
少し話がそれますが、ラップパートの部分『定刻通り しばしば来りてオーバーヒート』という出発時間ギリギリに頑張って走ってきて吐きそうという地獄のような気持ちがオケに現れていて笑いました。
間髪入れずに『アクション!』というセリフで強制的に出発させるのも酷ですね。
そして、次の曲は「おもいでしりとり」。
なんか気がついたらDIALOGUE+で一番有名な曲になっててびっくりした曲。
まあストレートなメロディと歌詞で本当にいい曲なんですけどね。
スケルツォの間に組み込まれるトリオ(中間部)もこの曲のように心を大きく揺れ動かす情緒豊かな音楽をとります。
その後電波ソングの「20xxMUEの光」にうつり、スケルツォ楽章は閉じます。
そして、ついにアルバムは最終楽章Finale「透明できれい」へ到達します。
発売日まで隠していたとっておきの曲。
アルバムの中で今までに出してきたシングル曲やライブで披露してきた曲を振り返ってきて、これからの未来に目を向けるとまだ見ぬ新たなステージが彼女たちを待っている。
そして彼女たちは前へ進むことを決意する。
その先にあるのは『かくめい』。
アルバムはCoda「はじめてのかくめい!2021」へ突入し駆け抜けます。
Codaで聴き慣れたメロディを高らかに歌いあげるのは本当に気持ちいいものです。
音楽に限らず芸術って予定調和が基本にあるものだと思いますので(長くなるのでこれ以上この話はしません)
まとめ
数年音楽かじっただけの楽器も対して吹けない、そもそもオーケストラで演奏したこともないド素人が偉そうに色々こねくり回しましたが、何百年・何十年前に生まれた芸術作品と今の時代に生まれる芸術作品で曲の長さであったりサウンドといった形式や、サブスクリプションでいつでもどこでもどんな曲でも好きなように聴けるというような楽しみ方は違っても芸術に対する人々の心のあり方は変わっていないんだなと思ってもらえたらこの長駄文の意図は伝わったようですね。
「ぼくたちのかくめい!オンライン」のチケットを何気なく購入したことがDIALOGUE+を応援するきっかけでしたがハマってよかったなって思えるアルバムでした。
いつも真剣に音楽のことを考えている田淵Pの今後の音楽プロデュースに期待しています。
最後に僕が一番好きな交響曲を貼っておきます。