これからの医科学研究に求められるあり方

これまでの大学医学部における医科学研究においては、みなさんも良くご存知のように、[臨床・研究・教育]がその3本柱となっています。これからも、この根幹は揺るぎないでしょう。

ただ、デジタルヘルス、DX、データ駆動型社会、分散型国造り、多核連携等の視点からイノベーション創出を見出す時、もう少し拡大解釈して取り組みたいと考えています。

「臨床」の世界はこれまでアカデミア(学内)のクローズドな世界が中心でしたが、これからは『まち臨床』となるでしょう。キーワードは、在宅、地域、遠隔、暮らし、予後医療・養生・療養、まちづくり、ウェルビーイング等と思います。

「研究」は、『社会実証』の領域が広がります。研究室や病院に籠もっていては何もわかりません、何も創出できません。創薬や医療機器は作れても、新たな社会ニーズに対応した“処方”を見つけることはできないと思います。キーワードは、地域、生活者、社会構造、社会処方、世代連携、レジリエンス、インクルーシブ等でしょうか。

最後に「教育」ですが、これは、従来のような医学教育だけでは狭い視野になってしまうような気がします。これからは、真の意味での『人づくり』に取り組む必要があると思います。ミレニアム世代が社会を担うようになってくると、昭和時代の考え方や行動は通じません。もっと全人類的な視野に立てる人材が必要となります。キーワードは、哲学、宗教、倫理、そしてリベラルアーツが挙げられますね。

ほかにもいろいろあるかと思いますが、DX、ポストコロナの世界に対応した新しい医科学研究アプローチのあり方を今一度考え直す機会が訪れているのだと私は考えています。

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