来世は他人がいい 8巻
小西明日翔
今まで絵柄のより好みで手を出していなかった作品でしたが、皆さんのレビューで興味持って読んでみたらめちゃくちゃハマリしました!
1巻から通し読みして、登場人物多いし、いろいろ策略とか理解難しくて何度も読み直し・・・4日かかってやっと最新8巻までたどり着きました。
🌸🌸🌸
8巻
底知れぬ狂気と冷酷さの持ち主、霧島のルーツである子供時代が明かされました。
11歳の子供に「人生ってずっとこんなクソつまんないの?」って言わしめたものは何なんだろう?
霧島は頭がとても良くて、勉強も空手も何でも卒なくできた。
学校ですることなど自分にとって何の面白みもない。自分と同じレベルと思える友達も周りにいない。いつの間にか周りの子供を見下すようになっていたんじゃないかな。
何も手ごたえがなく空虚な日々。それでも優等生としての外面は保って、表面的にはうまく立ち回っていた。
でもそんな霧島の胡散臭さをいじめっ子は見逃さなかった。
ある日突然始まった理不尽な暴力。そこであろうことか霧島の抗えぬ血が目覚めてしまった!(鏡の前で自分の打撲跡を眺めて微笑む霧島の不気味さよ😨)
子供がするカードゲームなんかでは味わえない、死の際まで激しい暴力にさらされることのスリルと、体に痛みを刻むことで味わう、生きている実感💥
マンガに出てくる自殺願望の子が、ビルの屋上で「死の淵に立つと、自分が生きているという輪郭がくっきりするの」なんて言う場面がよくあるけれど、霧島もまさにそんな思いだったのではないかな。
自分の被害を淡々と記録したり、女の子に優しくしつつ自分の被害を匂わせて、自分の味方をしてくれるよう仕向けたりと(子供の頃から立ち回りの狡賢さが今と変わらず💦)、一連の出来事をまるで自分が主導するゲームとして楽しんでいるのもサイコすぎる。。
蓮司さんが「教育である程度表面は矯正できても、性根の底の底の部分は変えられへん」と言っていたように、いくらちゃんとした教育を受けていても、霧島の中の萼さんから受け継いだ過激性なのか、あるいはナチュラルボーンのマゾヒズムなのか、そういった変えられない本質があったということなんだと思う。萼さんも生まれがいいのにヤクザになったのだし、まるでクローン。
➕➕➕
巻末の、霧島が初めて吉乃を自分の部屋に迎え入れる場面。
子供の頃にヤクザの孫の吉乃に興味を持って、やがて一緒に過ごすことになり、最初は自分勝手な好奇心だけで接していた。
吉乃のきっぷの良さに惚れてからは一方的に愛を注ぐ対象となり、次第に「笑顔が見たい」「独占欲」から「手放せない相手」と気付き、今では「自分のことを分かってほしい」「お互いに分かり合いたい」と気持ちがどんどん変化してきた。
自分と分かり合える人間はいないし、他人に興味もなかったモンスター霧島に、少しづつ人間らしさが芽生えてきた…!
これは普通ならとても喜ばしいことだけれど、霧島のような人間にとっては「大事な人」ができたことが弱みにつながりそうで、この先とても不穏なものを感じる…🥺
8巻の続きをアフタヌーン連載で少し読みました。
今までは心なく上滑りの言葉ばかりだった霧島が、今は芯から言葉を発し、心から吉乃を求めているように見えてとても切ない。
でも思うんですが、萼さんの霧島への接し方が酷いんじゃないでしょうか!?
蓮二さんに義理があるからって、まだ高校生でヤクザになってもいない霧島を、吉乃の用心棒につけるんですよ。
吉乃を守って自分の孫が死ぬかもしれないのに。
霧島を自分の跡目にとは、微塵も思っていないのかな?
子供のころから食費しか与えないとか、親族なのに冷遇すぎて、任侠道の親分とは思えない情のなさじゃないですか?
ここまでするのはなんだか裏がありそうで、もしかしたら吉乃のお父さんが死んだのには萼さんが関わっているのかな・・・なんてね。
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