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3/3古賀及子さんのトークイベントに参加したレポです

長らく推しているライターの古賀及子さんの本を買った。
そしたらトークイベントをやるそうじゃないか。東京なら日帰りで行ける。
というわけで参戦してきた記録になります。
レポートと言いつつほぼ独白というか日記じみた感想となっており、イベント内容についてはほぼ触れていません。

そもそもデイリーポータルZの読者なんすわ

古賀さんを初めて認識したのはデイリーポータルZの記事だった。

あれは2006年のことだ。同期が面白いサイトがあるよ、と教えてくれたのがデイリーポータルZで、そこから毎日更新される記事を追っかけ、過去の記事も読み漁り、ついでに当時東京にいた私は散発的に開催されるイベントにも足繁く通っていた。

まだお台場にあったカルカルにも何度も行ったし、肉の本を買いにも行ったし、1000円分の謎グッズが送られてくる友の会にも入っていたし、イカダの応援にも行ったし、ヒカリエの出張編集部にも行ったし、拾い食いのイベントに参加したこともある。
当時はおそらく古賀さん橋田さんあたりには常連として顔認識されていて、イベントに行くたびに「あ、どうも!」とか「いつもありがとうございます!」などと言われていた。

そこから数年が経ち、イベント現地参加はあまりしなくなったが、今でも毎日デイリーポータルZを読んでいる。古賀さんがやってるwebラジオは聴いているし、古賀さんの本は面白く読んだ。
そのラジオで告知されるのを聴いて、ちょうどタイミングもいいのでいっちょ参加すっか、とノリでチケットを取った。舞台もイベントも結構その場の勢いとノリでチケットを取ることがある。どうせ参加したら楽しいのだし、あとは行きたい気分になるかどうか、それだけだ。

というわけで当日です

天気がいいと気分がいい。なにせ移動がしやすい。
この日の目的地は渋谷PARCOで行われている展示を見に行くのと、古賀さんのトークイベントの2本立てとなっております。その他の予定は一切未定。
いつも通りの行き当たりばったりで行動する。

まずは地元で用事をこなしてから移動。渋谷へ到着。16時手前くらい。
スクランブル交差点は動画を撮っている観光客が複数おり、そんなに珍しいのか? と毎度思う。見慣れすぎてて映えが分からない。
スマホでPARCOの場所を確認しつつ進む。まだ雑踏の歩き方を覚えているな、としみじみしながらPARCOへ到着。したものの、フロアマップが見つからず、ギャラリーの場所を今更検索する。
今渋谷PARCOの地下ってこんなんなってるんですわね、と感嘆しながら無事に到着して展示を楽しんだ。
うっかり貼るアテのないステッカーを買ってしまった。また家に貼らないステッカーが増えた。アクリルの板が売ってなくて、そこは助かった気持ちになる。アクリルの板は無限に増えます。

下北沢が変わりすぎててちょっとビビる

渋谷の用事をサクサクこなしたので井の頭線に乗る。サインのために持ってきた本が、満員電車に潰されて変形してしまった。都会は恐ろしいところだね(これは都会に慄く地方在住者ごっこです)。
特急であっという間に着いた下北沢は、記憶にあるころと形が違っていたので適当な出口から出た。最後に下北沢に来たのはいつだったろうか。まだふしぎ指圧(デイリーポータルZライターの斎藤さんがやっていた店)があった頃か。もうずっと昔じゃんか。

劇場に足繁く通っていた頃にはなかった出口から出る。こっちの下北沢は全然知らんなー、と思いながら歩いた。
まだイベントまでは2時間くらいあるが、とりあえず会場の場所を押さえておくか、と歩き出した。

下北沢から世田谷代田へ向かう道はキッチリと綺麗に整備されており、美しい余白が作られてた。どこまでも都会だが都会過ぎない抜け感があるというか、人と金が余って唸ってんだろうなあ、と斜に構えた感想を抱きながらスマホの地図アプリに導かれるまま足を動かしていく。

ちょっとした緑地を通り、洒落たCGを具現化したみたいな建造物がどうやら目的地だと知った時の衝撃よ。事前にストリートビューで見ておけばこんな衝撃はなかったんだよ。

イベント会場の本屋は、BONUS TRUCKと名付けられた建築群の一角のようだ。そんなことも知らんで来ました。
イベントは19時から21時なので、どこかで食事をしておく必要がある。ちょうど、いろんな飲食店があるようなのでぐるっと見て回る。
しかし、洒落たパワーに圧倒されて表を見るだけに留まる。もっとおっさんが昼からホッピー飲んでるみたいな店はないのか。いやそれはそれで入りづらいが。本屋の下のギャラリーでなぜかおむすびの振る舞いをしていたので、にこやかなスタッフさんから受け取ってギャラリーに入った。でかいしめ縄に感心し、おむすびを食べる。塩むすびかと思ったらまさかの白米そのままだった。しかし美味い。こんなに美味いおむすびなのに最後のひと口はやはりラップのにおいがするもんだな、と情緒のないことを思いながら食べた。

さて、肝心の本屋は場所を確認するだけで一時撤退。

おむすびを食べたし、そんなに空腹でもないけれどなにせ開場まで2時間弱。その辺に突っ立っているわけにもいかず、かといって今更どこか別の場所へ行く気力もない。
そう思いながら下北沢の駅まで戻って来た。
適当に時間を潰せる店、そして一見でも入りやすい店としてスタバとカフェの二択となり、カフェに入った。ここまで来たらにはせっかくだから、という思いと、スタバのコーヒーは深煎りすぎてそれほど好きではないという理由だ。
カフェでうっかり食べ過ぎてしまったが、フードは美味しかったし変な客もおらず、快適に過ごす。壁と屋根があって座れるって素敵ですね。


理由(わけ)あってアクリルの板が写り込んでいる

SNSを眺めたりソシャゲのスタミナを消化したりしているうちに時間が近づいたので、洒落たCGの街並みをまた歩いていく。2時間も経っていないのに、日が落ちた小径にはさっきまでいた親子連れの姿はなく、間接照明の中に置かれたベンチめいたソファには身なりの整った人が座っており、お金持ちシティにはちゃんとした治安があるな、と思いつつ歩いた。

最高おもしろトークショー

会場となる本屋B&Bへ向かう。
今度こそ中へ入り、イベント参加の旨を告げてドリンクを受け取った。店内には30ほどの席が作られており、まだ数人が席を確保したところだった。
ここと決めた席に座る。
しばらくしてから、逆側の席の方が古賀さんがよく見えるんじゃないか、と思うなどしたがそちらの席はもう別の方が座っており、まあいいか、これだけ狭ければどこに座っても同じじゃんか、と思い直した。
そうこうしているうちに古賀さんと、牟田都子さんがいらっしゃってイベントが始まった。

古賀さんは記憶にある通りの素敵な方で、喋りが面白くて、声が聞き取りやすく、めちゃくちゃにチャーミングな方だった。
牟田さんとの掛け合いも最高で、トークは淀みなく流れ、今まで思ってもみなかったことやうっすら感じていたことが次々と言語化されて放たれた。

こういったトークショーとか講演で、私はメモを取らない。取った方が後から見返せるし思い出すよすがになるのは分かっているが、なんだか取りたくない気分で取らない。
100%集中して聞きたいというのがひとつと、メモを取ることでペンが紙を走る音とかページをめくる音が邪魔になったら嫌だな、という気持ちがあるのが理由だと思う。おそらくこれは、過去に観劇した時、関係者席でメモを取る人がめちゃくちゃノイズになって気分を害した記憶が元になってると思われる。実際はそんなにノイズにならないし、事実隣の人がメモを取っていたようだけどそちらが気になったことは一度もなかった。
まあこういうのも人間の味ですよね。

そんなこんなでおふたりの最高おもしろトークは私の脳裏を駆け抜けていき、染み渡ったけれどもじゃあどんなことを話したのかを理路整然と思い出すことはむずかしい。でも楽しかったんでいいんですわよ。

質疑応答で、古賀さんが日記を書くのは記事の反動だ、というエピソードが強烈に印象に残っている。
DPZの記事は、取材をして、写真を撮って、書く。めちゃくちゃめんどくさい。書くのに一日かかる。その点、日記はその日あったことを好きに書けばいい。20分から30分で書きあがる。

わ、わかる~~~~! とうっかり心の中で「わかる」ボタンを連打した。
たまにゲームプレイ日記を書いているが、本当にゲームプレイ日記はスクショを貼って、その日に進んだ分のことを書けばいいのでめちゃくちゃ書きやすくて楽しいのだ。
そうか、私も小説(商業でも何でもない趣味の二次創作)を書くのが大変で、その反動であんなにゲームプレイ日記を書いてたんだな、と腑に落ちた。
いまこの記事もすでに3000字を超えているが何の苦も無く書いている。脳内を出力してスッキリさせるということにおいて、日記とはなんと楽なのか。
これが小説となると本当に詰まったら1行書くのにも数日かかったりするものな……という爽快感があった。

その他にも含蓄に富んだ内容があったのだけど、有料のイベントだしすべてを覚えているわけではないので、記憶に引っかかっていることを羅列しておくので覚えている人はああそうだったな、と思ってください。

レシートを貯めて冷蔵庫に貼っている。そこから一枚とってメモを取る。
縦書きはちょっと格好つけている。行間は詰める。
エッセイの依頼を受けてからカルチャーセンターに通った。
エッセイというものをなんとなくでしか捉えていなかったのでちゃんとした教えを受けるためには学校へ行くしかないと思った。
日記に書くのは本当のことばかりではない。
同じ出来事でもそれぞれのフィルターを通して見ている。
日記という形式は登場人物紹介も詳しい状況説明もない。
同じエピソードが何度登場してもいい。繰り返されるエピソードにより書き手の人格が輪郭を持つ。
数日書かないと腕が落ちる気がする。よくできた日記を書けたときは連続して書いている時。
秘密の日記は完全オフラインで。
秀丸とstone。
以前は昼休み、今は朝食の後。
パソコンが好き、キーボードのカタルシス。
てにをはを直すくらいでほぼ手直しなし。
日記はどれも面白い。
タイトルをつけるのは大得意。
タイトル、書きだし、最後の一文はめちゃくちゃ格好つけている。
小中学生の頃は本をほぼ読まなかった。高校時代、演劇部に入って別役実の戯曲をたくさん読んだ。
日常のままならなさ。
一週間に一本ホームランが打てたらいい。ヒットじゃ嫌。

ほぼ覚えてないと書いておきながら意外と覚えているもんだな

サイン会と締まらない結末

トークショーの後はサイン会だ。
このために持参した本を手に並ぶ。机の上には、為書き(サインの横へ入れる〇〇さんへ、の〇〇部分)を書くためのメモが置いてあり、そこへ書く名前をちょっと悩んだ。本名とペンネームの他に、デイリーポータルZ用の名前もあるのでどれを書いてもらうかちょっと悩んだのだ。
とりあえずこれと決めた名前を書き記し、ちょっと古賀さんとお話をさせてもらう。
21:15に下北沢の駅を出る電車に乗らないと家に着くのが相当遅くなることに気を取られていて、せっかく持ってきた差し入れを椅子の下に置き忘れてきたことに気づいたのは、せわしなくサインをもらって店を出て、しばらく歩いた後だった。
慌てて店に電話を掛けるが、つながらない。
どうしよう。
あれは忘れ物ではなく、不審物でもなく、古賀さんへの差し入れなんですというメッセージを伝える手段を模索する。
古賀さんのTwitter(現X)はDMを開放していないようだ。正面からリプライを送るのもちょっと憚られる。
考えあぐねた末にnoteでサポートを送る際のメッセージならば確実に届くのでは、と考えてメッセージを送った。140字の制限下ではちゃんと挨拶をしてイベントの感想を伝えた上に忘れ物は差し入れなんですと説明することは難しく、削って削って最低限のメッセージとなったがなんとか送ることが出来て、古賀さんからもちゃんと受け取れましたよ、とメッセージが返ってきた。
ハッピーエンドだ。



ところで、イベント時の古賀さんの装いがとても素敵だったので、私は古賀さんのアクリルの板が欲しいです。


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