アザミ Oneman Live ''Attract to POPs TOUR''を観て
アザミ Oneman Live ''Attract to POPs TOUR’’、最高でした。
ツアータイトルの一部にもなっているPOPs(ポップス)という言葉に自分はずっと違和感を感じていて、前回の''Distract from POPs TOUR''はポップスからdistract(気を散らす、転ずる)するという意味であれば、これからもロックで行くぜ!というような所信表明と捉えるとアザミさんの音楽は僕の中でずっとロックなので、なるほどなぁと得心していたのですが。
今回の''Attract to POPs TOUR’’、ポップスにattract(惹きつける)するてどういうこと?アザミさんの音楽、これからはもっとポップでカジュアルな方向になるのかな……?と、不安ではないけれど、一抹の寂しさのようなものを覚えながらいざライブに足を運んだところ、音楽性に関してはまったくそんなことはなかった。
最新アルバム「起承転新」を聴いてもやっぱりアザミさんの芯にある音楽はロックだなぁとしみじみ思ったし、今回のライブもやっぱり徹頭徹尾ロックで最高だった。
では、この''Attract to POPs TOUR’’とはいったいどういう意味なのか、ライブを観ていく中で僕の中で確信に変わった答えは「バーチャルからリアルへの脱却、転身」でした。
これにはいくつか理由があるのですが、一番は今回のライブの演出・観せ方だったと思います。前回・過去のライブと比較すると明らかにアザミさんのリアルの肉体を全面に押し出したライブになっていました。ステージの照明でアザミさんはもちらん、バンドメンバー全員の表情がライブ全編を通してハッキリと見て取れる。そこには生のロックバンドの、生のライブがあった。
大なごん先生を起用してのここ最近のリアル系の楽曲ジャケットイラスト、ミュージックビデオの実写化、TikTokへの進出、起承転新、etc…、アザミさんがこれまでに張ってきたすべての伏線がここに来て綺麗に回収された感があって、ライブを観ながらものすごく感動したのを覚えています。
ライブ中のMCで「もしかしたら今日で最後になっちゃう(これ以上はついていけないよ、という)人もいるかもしれないけど」とアザミさんは仰っていましたけれど、「リスナーには誠実でいたい」という本人の言葉通り、ここまで段階を踏んで、用意周到に変化を進めてくれる人を、見限るようなファンはいないと思います。アザミさんはとても賢しい人なのです。
初めてアザミさんの音楽を聴いた時は画面の向こうの存在だったかもしれないけれど、それでも僕が一番惹かれたのはアザミさんの音楽の部分です。
これからの活動がリアル寄りになろうとも、僕は今までとなにも変わらずにいちリスナーとして応援し続けます。
というわけで、前回の''Distract from POPs TOUR''と今回の''Attract to POPs TOUR’’両方を観て、自分の中でバラバラになっていたパズルのピースがカチッとハマったのでした。
僕が世界で一番好きな某ロックバンドは「ロックバンドはライブをし続ける生き物だ」というスタンスでずっと活動しており、ライブを通してロックバンドのすべてを体現し続けてくれています。
アザミ Oneman Live ''Attract to POPs TOUR’’を観て、アザミバンドも僕が大好きな「ライブで魅せてくれるロックバンド」のひとつだと改めて思わせてくれたのが本当に嬉しかったです。ありがとうございました。
もう次の約束をしてくれたので、また来年、東名阪でお会いしましょう。