新しい職場の形
新聞で読みましたが、最近ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)と呼ばれる働き方が広がっているようです。従業員が仕事内容によって働く場所や時間を選ぶ。仕事を「一人集中作業」、「ウェブ会議」、「複数人アイデア出し」などに分類して、それぞれに応じた環境を整備するのが特徴で、30年ほど前にオランダで生まれたそうです。これに、昨今の感染症対策による在宅勤務も含めて、ABW導入が注目されています。
だいぶ昔に、ビジネス書で「日本型の仕事空間が日本的経営の強みの一つだ」という内容を読みました。日本型仕事空間とはオープンスペースで座席固定のスタイル。これに対して欧米型はマネジャーの執務室があって、従業員のスペースも仕切りが多いと記載されていました。私は海外勤務の経験はありませんが、海外出張などでそういう職場も見ましたね。実際はどうなんでしょう? 日本型仕事空間では、どこに誰がいるかを把握しており、オープン空間なので、いつでも声をかけて意思伝達、相談、簡単な打ち合わせなどができる。発想が活性化してチームワークも高まり、猛烈なエネルギーを発揮できるというロジックでした。そうかもしれませんね。部活動なら、こっちのほうが強そう。
しかし、横一線競争の時代が終わり、多様性を武器に新しい価値開発が重要な今の世の中、旧来型の仕事空間は強みにはなりません。機動的に仮説→実験→修正を繰り返すビジネスモデルにフィットさせる必要がある。在宅、外回りに対応して、フリーデスクで座席数を減らすことで、コスト削減にもなる。集中の個作業と、発散/収束の集団討議のメリハリが必要。古い「ザ・仕事部屋」ではついていけません。一方で、労務管理や評価が難しい。今までは、日常の報連相や、会議での存在感で評価されていたのも事実です。これからは実績・結果がより重視される。業務プロセスもプロジェクト型が多くなり、専門性と主体的発信が求められる。受け身でいるとオファーは来ません。置いて行かれちゃう。メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用への転換です。
職場の形やワークスタイルは、厚生制度ではありません。経営課題そのものです。経営者も従業員もその点をよく理解して、新しい環境を創り上げる必要があります。しかし、世の中のほとんどは中小企業。理想どおり、かっこよくはいきません。それでも創意工夫は大切。いろいろトライして、それぞれのベストを考え抜きたいですね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?