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行動経済学からの学び

以前ビジネス誌で「行動経済学」の特集を読みました。ちなみに私は大学で経済学部に在籍していて、マルクス経済学のゼミに所属していまいした。当時はマル経などの古典経済学よりも、「近代経済学」が主流でした。マクロ経済学とミクロ経済学。マクロは主に財政・金融政策で、政府や金融の関係者向き。ミクロは一般企業向きです。ミクロ経済では「完全競争市場」が前提で、独占・寡占は悪だった。公正取引委員会などが正義なわけです。これでは儲からないので、その後『経営学』が発展し、少しでも独占・寡占に近づけようとした。マイケル・ポーターの競争戦略などはその典型です。

さて、行動経済学。「市場は合理的である」とする伝統的経済学が、実ビジネスに応用しづらいのに対し、「非合理な人間的行動」を研究対象とする行動経済学は現実的。今、「使える経済学」として注目されています。ポイントは「時間」と「リスク」。話が複雑になるので、ここでは「リスクの感じ方」にフォーカスします。

ずばり「人間は損失回避の傾向が強い」。つまり、「損失を避けたい」>「利得を得たい」です。例えば、例①「コインを投げて表が出たら2万円もらえ、裏が出たら全くもらえない」という選択肢と「コインを投げずに1万円確実にもらえる」選択があったら、ほとんどの人は後者を選ぶ。逆に例②「コンの表が出たら2万円支払い、裏が出たら全く払わない」選択肢と、「何もせずに確実に1万円支払う」選択肢があると、前者を選ぶ人のほうが多い。これ不合理です。期待値は同じなのに、①はコインを投げないで、②はコインを投げる。不確実性がいやなんじゃなくて、「確実に損する」のがいやなんです。これが損失回避。商売だと、「今買うとこれだけ得ですよ」と言うより「今買わないとこれだけ損しますよ」と表現するほうが、インパクトは大きい。ただし損失アピールはあまり繰り返すと効かなくなる(あるいは逆効果になる)ようですので、十分ご注意ください。

とにかく人間は「確実に損する」が大嫌い。得をする場合はリスクを取らなくても、損するくらいならリスクを取る。人間の行動とは不可思議です。さてこの行動経済学(リスクの感じ方)を、ビジネスにどう応用できるでしょう?「あなただけこれを使わないと、ヤバイですよ」などとアピールするのは、恐怖マーケティングのようで躊躇してしまいます。でもこういう研究が進んでいることを知っておいて「損はない」。上手に活用したいですね。

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