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着眼点

真鍋淑郎さん(プリンストン大上席研究員)が、ノーベル物理学賞を受賞しました。専門は地球物理学。受賞について関係者が驚いています。気象の分野で物理学賞が受賞できるとは思っていなかった。「地球物理学はノーベル賞には選ばれない」という印象がありました。具体的な研究内容は割愛しますが、真鍋氏の功績は「コンピューターによる地球温暖化予測の礎を築いた」こと。二酸化炭素などの温室効果ガスが、地球規模の気候変動に与える影響を予測した先駆的な研究が評価されました。

真鍋氏の業績からの学びは、「着眼点」です。気象と物理をつなげた。博士号をとった直後の1958年に渡米し、米国気象局でコンピューターを使った気候変動の計算手法の開発チームに加わったことがスタートです。当時、高速コンピューターを使った研究は未踏の分野でした。その後気象と物理の連動にこだわり続け、60年代~90年代と成果を上げます。気候変化予測の基礎です。それが今につながり、世界に温暖化の危険性を認識させ、国際社会を動かす影響力をもつようになりました。現在90歳。受賞が遅すぎるくらいですね。やっと「地球物理学は選ばれない」という定説をひっくり返しました。

研究でも、仕事でも、勉強でも「着眼点」が大事で、その根っこは「好奇心」です。真鍋さんは、「外で気候を肌で感じて好奇心を持った。60年夢中でやってきた。若い研究者も自分が好奇心を持つ研究をやることが大切だ」と言っています。若いころから「気象って面白いんだよ」と後輩に語っていたそうです。そして地道なだけでなく、ホームランも必要。1967年に発表した論文(大気と気温の関係性)がそうだとしています。これではずみがつき、自信、評価が高まった。何事かを成し遂げるには、「好奇心→着眼点→夢中→ホームラン→継続」こんな流れが大切だと思いました。ホームランを打ってから、実に50年以上がたっています。ご本人はホームランという表現をしていますが、研究の核となる本質と言えると思います。核ができると継続できるのですね。このたびは、おめでとうございます。

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