noteのマガジンとSpotifyのプレイリストにある共通点
お仕事で音楽系のプロダクトに関わっているのですが、その傍らnoteにブログを書いていて、感じたことがあります。
それはnoteの「マガジン」とSpotifyの「プレイリスト」には、効果とユーザー体験に共通点があるということでした。
マガジンおよびプレイリストには「フォロワー」「クリエイター」「マガジン・プレイリストの運営者」の3者が関係しています。
本エントリーでは順番に、それぞれの視点からお話していきます。
マガジン(note)
フォロワー視点
noteでは、マガジンをフォローしておくと、クリエイター自体をフォローしたり探さなくても、初めて知るクリエイターや自分では見つけられなかったクリエイターを発見することが出来ます。
良いマガジンをフォローするだけで、自分の情報感度や関心ごとへの感度が上がるわけです。
しかもメインのフィードにフォロイーの投稿と一緒に流れてくるので、その人をあらかじめフォローしていたかのような感覚でコンテンツを受け取ることが出来ます。
ネットワーク効果を活かせる設計の、自然で優れたセレンディピティの体験だと思います。
クリエイター視点
クリエイターにとって、マガジンはPVを増やす手段の1つです。
よりフォロワーの多いマガジンにコンテンツが追加されることや、より多くのマガジンに追加されると、PVが集まります。
マガジンの数が多いテーマを狙ってコンテンツを作るなど、工夫しだいでより多くの人にコンテンツを届けることが出来ます。
運営・キュレーター視点
noteのマガジンは、誰でも作ることが出来ます。
そのためマガジンの中には色んなキュレーターがいて、自分で書いていなくても誰でも自由に記事を追加出来ますし、自分のコンテンツをマガジンに追加することも可能です。
良いマガジンを作ることは、影響力のあるメディアを作るのとほとんど同じかもしれません。
プレイリスト(Spotify)
フォロワー視点
Spotifyでも、ユーザーは好みのプレイリストを探してフォローすることが出来ます。フォローしたプレイリストは曲が追加されたり入れ替わったりしています。
また、より多く触れるのはバイラルチャートやおすすめ、特集など公式にフィーチャーされたプレイリストです。
公式なら国別やジャンル別に、ユーザーのプレイリストならその独自の基準によって厳選されています。
どちらもいま話題の楽曲が常にリストに入っているので、リストを聴き流しているだけで、新しく質の良い曲に触れることができます。
クリエイター視点
Spotifyのクリエイターも、フォロワーの多いプレイリストに曲が追加されることで再生数が伸びていきます。
有力なプレイリストの多くはSpotify公式によるもので、特にバイラルチャートに入ると、世界各国の公式キュレーターによる人気プレイリストに追加されていきます。
バイラルチャートは、曲の再生数やSNSでシェアされた回数に基づくランキングです。
また、公式以外のプレイリスト運営者に対しては、リストへの掲載を依頼することも出来ます。(公式のプレイリストには依頼等はできません)
運営者・キュレーター視点
Spotifyユーザーは、自由にプレイリストを作ることが出来ます。
ほとんどがユーザー自身のためのリストですが、クリエイターがお金を払いプレイリストに曲を追加してもらうほどインフルエンスのあるプレイリストも存在します。(もちろん、彼らのクオリティの制限をクリアしている作品しか載せません)
フォロワーの多いプレイリストは、影響力のあるメディアとして機能しているということです。
比較と共通点
2つの図を比較すると、とてもよく似ています。
それぞれの主な共通点と違いを以下に整理してみましょう。
フォロワー視点
共通点:フォローしているだけで選ばれた質のいいコンテンツが流れるようになり、意識しない間に満足度が上がる。
違い:Spotifyは、noteと比べてユーザーによって作られるプレイリストをあまりフィーチャーしていないため公式のプレイリストに触れる機会が多い
クリエイター視点
共通点:クリエイターは、フォロワーの多いプレイリストに追加されると、より多くのPVが集まり、フォロワーと収入が増える。
違い:Spotifyでは公式のプレイリストに載る前に、ユーザーによる有力プレイリストに対して有償で掲載依頼を行うことがある
キュレーター視点
共通点:フォロワーの多いマガジン(プレイリスト)は、影響力のあるメディアと似たインフルエンスを発揮する。
違い1:Spotifyでは世界各国の公式キュレーターが運営する公式プレイリストの存在感が大きく、キュレーターとしての運営ハードルが高い。
違い2:Spotifyのキュレーターの中には、プレイリストのインフルエンスでビジネスを行っている人・組織も存在する(noteでもその内登場するかもしれない)
まとめと感想
noteのマガジンとSpotifyのプレイリストとでは扱っているコンテンツも規模も異なりますが、ユーザーとコンテンツの関係性の設計には共通点がありました。
フォロワーにとっては情報のセレンディピティを高めて満足度を高めることができ、クリエイターにとってはコンテンツを届ける人を増やすことができ、キュレーターにとってはインフルエンスあるメディアを持つことができます。
noteのマガジンは、MediumやTumblrなど他ブログサイトには無い特徴で、強いネットワーク効果を持ち、コンテンツを生む側・消費する側・届ける側すべてに優れた体験を与える要素です。
3者とも、マガジンをフル活用することで新たなフェーズが見えてくるかもしれません。
また、Spotifyには存在するキュレーションビジネスは、noteにもその内登場するかもしれません。「3000PV保証!」といった言葉を聞けば多少のお金を出したくなる人はいるでしょう。
クオリティさえ審査してくれればフォロワーも喜び、クリエイターも喜び、キュレーターも楽にネタを調達できますから、三方よしです。
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