国立長寿医療研究センターが目指すこれからの地域医療とBOCCOシリーズ|インタビュー
こんにちは、セールスチームの金川です。
今回は新しい技術を積極的に取り入れながら患者さんの生活を支え、より元気になってもらうために日々奮闘する医師と、理学療法士のお二人にお話を伺いました。普段のインタビューとは違ったリハビリテーション医学・地域医療の側面から、BOCCOシリーズの魅力についてご紹介できればと思います。
プロフィール
普段の生活や活動を支える医学
大高氏
リハビリテーション医学は、身体の機能が落ちて、これまで通りの生活ができなくなってしまった患者さんへ行うものです。使える道具はなんでも使って、患者さんの生活を少しでも良くするために補っていきましょうという考え方に基づいています。
これまでは杖や歩行器のようなアナログなものが多かったのですが、最近の福祉用具は大きく変わってきています。
小さいものだと腕に付けるウェアラブルデバイス、大きいものだとアシストスーツのような人ひとりを抱えらえるものまであり、患者さんがよりアクティブに、より元気になるようにと思ってもらえるツール(テクノロジー)を使うようにしています。
--- 活用するツールは、患者さんによって変わるのでしょうか?
大高氏
地域医療は、医師一人で完結するものではありません。患者さんを中心に、ケアマネージャー・リハ専門職・薬剤師・看護師・医師など、多職種のチームで対応しています。
〇〇さんには、この機器がいいんじゃないか?と、皆でアイディアを出し合い、日々ツールを探しているような感じです。
かわいいフォルムに魅かれて
--- BOCCOシリーズに興味を持っていただいたきっかけを教えてください。
大高氏
昨年夏に、介護ロボットの情報収集をしているときに、テクノエイド協会の福祉用具機器紹介の冊子で初代BOCCOを見つけました。「こういうコミュニケーションロボットもあるんだな~」と、知識の一つとして捉えていました。
調べていくと、フォルムのかわいいBOCCO emoにたどり着き、試してみたいという気持ちでお問い合わせさせていただきました。
その後、金川さんから「誰かと喋ろう」キャンペーンのご紹介を受け、一気に患者さんとの利用イメージがわきました。
--- ありがとうございます。
実際に院内に展示してみて、お客さんからの反応はいかがでしたか?
大高氏
厚労省のプラットフォーム事業の一環で、患者さんやそのご家族、介護施設の方々に向け、去年からBOCCOの展示を開始しました。
しかし、今の状況下ではなかなか見てもらえなくて。
私がBOCCOを試した感想は、音声が正確にテキスト化され、声でのやり取りができるところが良いと思いました。
佐藤氏
多くのコミュニケーションロボットに触れていますが、今の音声認識技術は発展途上です。BOCCOはテキストを読むことに特化しているので、音声を聞き取ってくれないというストレスを感じないのがとても良かったです。
大高氏
70代半ばの外来リハビリテーションにお越しの患者さんと、そのご家族にBOCCO emoのPVを見てもらって、感想をもらいましたよね。
佐藤氏
エモ語を喋ってくれる姿がかわいい!という声が多かったです。
他にもチャピットやユニボがありましたが、BOCCO emoはサイズ感や見た目のかわいらしさで人気でした。
例えば、認知症の患者さんやそのご家族の場合「〇〇はどこに置いたの?」と聞かれたり、家族が患者さんの目を離せず、外出ができない・目が離せないことがストレスになります。
この辺りをコミュニケーションロボットがフォローしてくれると、ご家族としては大変助かると思います。
生活の中で役に立つ存在であることが大切
--- 院内にはBOCCO emoをどのような形で展示されているのでしょうか?
大高氏
BOCCO emoは患者さんの住環境を模した空間に展示しています。
まずはスタッフにBOCCO emoを知ってもらう必要があると思い、書面でBOCCO emoの機能をお伝えした後に簡易アンケートを実施しました。
回答してくれたスタッフは、展示されている他のコミュニケーションロボット(パルロ、ロボホン等)を見たことはありました。
今まで喋るロボットはとても高価だったので、1つの施設で1台購入し、多くの患者さんに対して使用するケースはあったかもしれません。
しかし、私たちのように一人ひとりに個別性の高い介入をしている医療の現場では、高価なものを気軽に試せる機会がありませんでした。
--- そうですよね。
訪問リハビリはどのくらいの頻度で行うのでしょうか?
佐藤氏
訪問リハビリは毎日行う入院時のリハビリと違って、週に1~2回患者さんの自宅に訪問して行います。私たちが訪問する日を除く5日を、どう過ごしてもらうのかが大切ですが、リラックスしている自宅の生活をルールで制限するわけにはいきません。
リハビリは、患者さんの生活を少しでも良くするために行うものなので、患者さん自らがやる気になってくれるリハビリを探し続けています。
双方向性のやり取りが大切な地域医療
--- 具体的に、どんな手法で患者さんのやる気を奮い立たせてこられたのでしょうか?
大高氏
歩数計などのデバイスを試していただいた方の場合、毎週歩数記録を集計していました。人によりますが、「今週平均〇千歩いきましたよ!頑張ってますね!」と励ますことは比較的有効だったと思います。
--- 宿題をお渡しするような感覚でしょうか?
佐藤氏
そうですね。カレンダーをお渡しして、ご自身がやった回数をチェックしてもらう感じです。それを訪問時に確認し、激励する。
地域医療の中で、私たち専門職が関わる機会は多くとれないので、双方向のやり取りが何より大切になります。「カレンダーに記入してくださいね」と依頼しただけではダメで、カレンダーにコメントを入れてお返しする場合もありますね。
患者さんに記入してもらって、私たちが奨励する。
患者さんには継続してリハビリに取り組んでいただかないといけないので、この相互の連動性が大切です。
大高氏
誰かに励ましてもらえるって嬉しいですよね。嬉しいからまた頑張れる。
いつかは、BOCCOやBOCCO emoが患者さんのパートナーになってほしいですね。
これからBOCCOシリーズに期待すること
--- 訪問リハビリや、訪問看護でスタッフが患者さんの情報を把握するときは、先ほどのカレンダーのようにアナログなものが多いのでしょうか?
最近では、BOCCOシリーズと体重計を連携させて、患者さんの生活ログを取る取り組みも検討しています。
大高氏
データ化して医師に連携できたら、更によく伝わると思いますが、できてないのが現状です。院内で完結する一般医療なら、病院の機材として電子カルテ、タブレットやスマートフォンの利用ができるので環境が整っていますし、定量化する評価の機会も多いです。
それに対して高齢者の自宅でとなると、環境整備の問題もあり、アナログ的なものの割合がどうしても増えてしまいます。これが地域医療と在宅医療の難しさですね。
佐藤氏
私たちが患者さんをケアする目的が、患者さんの生活の質(QOL)の向上で、QOLに直接紐づく大切な要素は日常生活活動(ADL)や、患部の痛みです。今これらの評価は、患者さんから質問用紙で回答してもらっています。
今後BOCCOシリーズと体重計連携など、生活ログをデジタルから把握するようになると、ケアを行った結果どうなったか?という評価が正確にできそうですね。生活ログをデジタルで評価する方法は、今後進んでいかなければならないと思います。
--- 今後のBOCCOシリーズに期待することを教えてください。
大高氏
移動能力・手段がある患者さんは、BOCCOシリーズからの奨励や情報提供によって社会参加促進が期待でき、そうではない患者さんは、会話を増やすことによってQOLの向上が期待できると思っています。
BOCCOシリーズは使い方によって様々な可能性があり、患者さんの行動変容をおこせるコミュニケーションロボットです。
医療従事者がBOCCOシリーズを理解、また患者さんの特性を把握した上で、患者さんにあったコンテンツの提供をすれば、より役に立つデバイスに進化していくのではないかと思います。
佐藤氏
私は、BOCCOシリーズで介護負担の分配ができるのではないかと考えています。
例えば認知症の患者さんをケアする場合、ケアする側が一人だと精神的に負担になってしまいますが、お子さん、お孫さんとBOCCOシリーズで家族を繋ぎ、家族で介護に関わるイメージです。
「患者さんとその家族にとって、本当に使いやすいデバイスは何なのか?」「どういう使い方が良いのか?」は調査中ですが、BOCCOシリーズのように音声インターフェイスが登場したことによってすごく期待できるなと思っています。
インタビューを終えて
医療従事者に代わって毎日BOCCOやBOCCO emoがリハビリに取り組む患者さんを傍で見守り、応援する。
患者さんだけではなく、家族や地域もつなぎ、介護への介入ハードルを下げてくれる。
BOCCOやBOCCO emoがそんな存在に育っていくのが楽しみです。
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