小学生ロボコン体験キットを製作しました
こんにちは、エンジニアの花守です!
ユカイ工学の教育事業「kurikit」ではこれまでに、小学生ロボコンの企画や運営等に協力してきました。2020年から毎年開催されている各地でのイベントや大会をお手伝いする中で、ロボコンを通して学べるものづくりの楽しさ、それを伝えていく難しさを幾度となく感じてきました。
そんな折、小学生ロボコンの運営を務めるNHKエンタープライズ様より「小学生ロボコンの楽しさを手軽に体験できるキットを作ってもらえないか」とお声掛けいただきました。
今回はこの貴重な機会を活かして製作したロボットキットについてお届けします!
これまで小学生ロボコンに携わって感じてきたことや培った経験などを詰め込みました。ロボコンを知らない人でもロボットを操縦する楽しさ、試行錯誤する楽しさを感じられるような取り組みについて、知っていただければ幸いです!
小学生ロボコンとは?
小学生ロボコンは、全国の小学生を対象としたロボットコンテストです。
2020年から始まった小学生ロボコンも今年で6回目。各地で地方予選会が行われ、北海道から九州までの様々な地域の小学生が参加する大きなコンテストとなりました。
参加する小学生達は、毎年変わるルールに沿ってロボットを製作し、そのアイデアを披露します。
今回開発したロボットキットは、過去に開催された大会のルールを参考にしつつ「手軽に小学生ロボコンに出場した気持ちを味わえる」というテーマに沿って製作しました。
ロボットキットの概要
今回開発したロボットキットを使うことで、小学生ロボコン 2023の競技課題「サンプルリターン」に簡単にチャレンジすることができます。
この競技課題では、地面に置かれた紙コップを回収したり、吊るされた紙コップを落として持ち帰ったりしていくことで得点を重ねていきます。
ロボットキットはコントローラーと移動機構、上下機構、紙コップを回収するためのフレームがセットになっていますので、ロボットに関わったことがない人でもスムーズに競技を体験することができます!
このロボットキットのポイントは「小学生ロボコンの競技を体験できる」というところだけではありません。「競技の結果を踏まえて改良していく」というロボコンの最も難しく、楽しい部分を体験することもできるのです!
このキットは、複数種類の上下機構や、紙コップ回収用のフレームがセットになっています。上下機構やフレームは簡単に取り付け、取り外しができるようになっているので、競技の結果を踏まえたロボットの改造も手軽に行えます。
それぞれの機構が持つ特徴を踏まえて「どうやったら紙コップを落としやすくなるだろう?」「どんな形なら紙コップを運びやすくなるだろう?」という試行錯誤を、短時間で手軽に楽しむことができます。
ロボットキットの詳細
ロボットキットには、コントローラーと移動機構の他に、上下機構2種類、紙コップ回収用のフレーム2種類が含まれています。それぞれの機構やフレームは、ロボコンに頻繁に用いられるものをモチーフにしています。
ここでは、それぞれの機構の特徴や役割について、詳しく解説していきます。
平行リンク
複数の棒を回転軸でつなぎ合わせたリンク機構のうち、ある部分の平行を保ったまま動かすことができるものを「平行リンク」と呼びます。
ロボットキットではこの特性を活かして、モーターの回転を、紙コップを落とすハンドを平行を保ったまま上下する運動に変換しています。それぞれの棒を大きく動かしているので素早く動かせるのが特徴です。
ラック&ピニオン
回転を伝えていく構造としてよく使われる歯車(ピニオン)と、直線状の歯車(ラック)を組み合わせた機構を「ラック&ピニオン」と呼ぶことがあります。
回転運動をダイレクトに直線運動に変換することができるため、紙コップに向けてまっすぐ腕を伸ばし、そのまま真下に引っ張ることができます。動きはややゆっくりですが、その分高さの調整がしやすいのが特徴です。
バンパー
オブジェクトを効率的に運んだり、衝突の衝撃を吸収したりするために、車のバンパーのようにロボットの前方にフレームを取り付けることがあります。
今回製作したロボットキットでは、ロボットの両端に棒が飛び出るような形状のバンパーとすることで、紙コップを掴むように運搬することができます。
ブルドーザー
ものを押して運ぶための仕組みとして、重機など実際に活用されている機械が参考になる場合もあります。今回は、紙コップを押し出すための仕組みとして、ブルドーザーの形状を参考にしたフレームを製作しました。
板を押し当てて運ぶため運搬対象が左右にずれる可能性はあります。ですが、斜めになった板を使って、運搬対象を少し高い台に載せたりすることができます。
イベントでの活用実績
今回製作したロボットキットを、実際にいくつかのイベントで小学生に体験してもらうことができました。
中でも、京都市のみやこめっせで行われた「こども科学博2024」(主催:稲盛財団)では、量産したロボットキットを用いて小学生ロボコンの体験展示が実施されました。3日間で述べ2000人を超える小学生が参加した会場で、ロボットキットを使用した小学生ロボコンの競技を体験してもらうことができました!
今後について
今回製作したものは全て小学生ロボコン2023の競技課題をベースに製作されていますが、移動機構に取り付ける機構やフレームを変更すれば、他の年の競技課題に挑戦できるよう改良することも可能です。
これからも、どんな機構を追加するとより面白くなるか、どう改良すればより使いやすくなるか等を考えながら、開発を続けていく予定です。現時点では販売は予定しておりませんが、キットを使用した体験会の情報などがあれば随時公式サイトやXで発信予定していきます。是非ご確認ください。
ロボットキットの開発状況や生産状況にご興味をお持ちの方は、こちらのフォームからご連絡ください!
おわりに
高専ロボコンをはじめとしたロボット競技に熱中した学生時代を過ごし、お仕事で小学生ロボコンに携わらせていただいている自分としては、今回のロボットキットは「兼ねてより作りたかった」といっても過言ではないものでした。
もちろん、このキットを使った一瞬の体験でロボコン、ひいてはものづくりの全てを理解できるわけではありません。それでも、自分で考えてロボットを作り変え、楽しく動かしたその一瞬が、その人の人生を少しでも豊かにしてくれるといいな、と願っています。
これからも、より多くの方々にものづくりの楽しさを伝えられるよう、全力でものづくりをしていきます!
これからの小学生ロボコンについて
小学生であれば、誰でも小学生ロボコンに参加することができます。大会の開催概要や参加方法については、公式サイトやXをご確認ください。
また、小学生ロボコン2024の全国大会が、2024年11月24日(日)、池袋サンシャインシティの噴水広場にて開催されます!
大会は、現地で自由に観覧できる形で開催される予定です。また、Youtubeでのライブ配信も予定されています。大会の詳細は、公式サイトやXにて告知される予定となっておりますので、こちらも是非ご確認ください。
毎年素敵なロボットが集まる、創作意欲を掻き立てられる大会になっています。是非、ご覧ください!
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