今にも通じるミヒャエル・エンデの『モモ』
時間どろぼうと盗まれた時間を取り戻す女の子"モモ"の話。私も子どもの頃に読んだ記憶があるのだけど、コロナで再び読まれているとのことで読んでみた。1974年初版とあるが、とてつもなく今、多くの人が直面していることに通じるものがあると思った。
この本では「忙しい」「時間がない」と言う都会の人々は、見せかけの能率の良さと繁栄の文明社会に組み込まれています。よい暮らしのため時間を倹約し、子どもたちは将来の為になる勉強をさせられます。
一方、管理された文明社会にまだ組み込まれていない浮浪児のモモは、ゆたかな心を持つ自然のままの人間のシンボルとして描かれます。
人の心の中には「時間の花」があり、灰色の男たちが吐き出す煙をその花が吸うことで、時間の花を奪われてしまう。奪われた時間の花は地下倉庫に入れて凍らされてしまう。そのままだと持ち主のところへ帰ろうとするから。
私はこの話の続きが今のコロナ禍に通じるように思う。家にいる時間が増え、今まで「忙しい」「時間がない」と言っていた人たちが戸惑っているような気がする。自由な時間が増えた時に、どうしたらいいのか分からないのかなと。組織の中での損得、利害など、何か理由を作ってすることに慣れてしまうと、自由の使い方は難しいのかもしれない。
これを機に皆が自分なりの歩み方を見つけていけたらと切に願う。