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医師会の理事としての寄稿転記

ご承知の通り医療Dxが政府主導で推し進められています。厚生労働省にも医療Dx令和ビジョン2030の推進チームが発足しており、チーム発足から1年かからない本年6月2日には工程表が発出されました。
改めていうまでもなく、医療は労働集約型産業であり、昨今の賃金の上昇や、働き方改革などが医療現場には直接的負担としてのしかかります。建築費の高騰や物価高も大きな負担となり、これまで同様の医療を提供するコストは増加するにも関わらず診療報酬は伸びず医療機関の経営には非常に大きな打撃となります。この課題を解決するには業務の効率化が避けて通れません。医療Dxの本質はITによって業務を効率化させ、生産性を向上させる事、利便性の向上で医療のアクセス・コスト・クオリティを高めることだと考えています。
我々はこのような中で医療Dxがどのような方針で推し進められているのか、厚労省の担当官僚や技官と積極的に意見交換をしています。その外に経産省や総務省も関わってくることから、他省の官僚ともしばしば意見交換をしています。詳細は長くなるので割愛しますが、医師会は医療の現場から積極的に発信や情報交換をしていくことがとても重要だと感じています。特に全国医療プラットフォームを創設することを掲げていますが、電子カルテの標準化に向けた仕様の策定までが進んでいる状況で、現時点では全国医療プラットフォームは民間主導で構築してもらうことを念頭に置いているようで、詳細は決まっておらず、医師会が主導もしくは関与しなければ、我々の意向が反映されない内容で営利企業主導による医療現場の声は二の次になったプラットフォームが構築される懸念があるように感じています。
日本医師会は医師資格確認証(HPKIカード)などの運用をしており、その他の資格確認証も実現しつつ、医療者や医療機関にとって本当に有益なプラットフォームを構築することを積極的に検討するべきではないかと考えています。現在の構想の主流はPHRを活用したプラットフォームであり、医療現場の生産性を上げるものであることが大切だと考えます。2014年に運用が開始された福岡県のとびうめネットは来年10年目を迎えます。同様の取り組みには、近いところでは長崎のあじさいネットなどがあります。
私どもは地域完結型医療を目指し、開院当初から外来と訪問診療を行っており、患者情報の一元管理の必要性を感じており、今回の厚労省の医療Dxの工程表にある「保険・医療・介護」を念頭に置いたプラットフォームの構築を、PHRとPLRを用いたプラットフォームとして開発を進めていました。ここに新しく保険診療として初診からのオンライン診療の恒久化が組み合わされることで、「保健・介護・医療」を中心として社会はデジタルで大きな変革がどこかの時点でかなり急速なペースで起きてくると考えています。厚生労働省の工程表ではシステム全体の統括を社会保険支払基金を母体として抜本的に改組となっていますが、ここは現時点では流動的なようで、地方関係者の参画を得つつ、国がガバナンスを発揮できる仕組みを確保とあります。医師会としても積極的に参画していく必要があると考えています。実際我々の開発しているプラットフォームはオンライン診療にも対応できるように作られており、健康経営の観点から企業によっては強い関心を持たれます。多忙で継続的な通院時間を確保しにくかったり、受診勧奨をしても受診しない会社員に社内診療所の代わりにオンライン診療を用いたいなどの要望は多く聞かれます。また、最近では大規模な有名病院からの問い合わせがしばしば入るようになっており、PHRを用いた業務の効率化が最大の目的のようです。実際に500床を超えるような先進的な取り組みを行う大規模病院ではPHRを用いたシステムの構築を目指した取り組みを行っているところが散見されます。
PHRをEHRとして利用できる仕組みつくりにアップグレードされ、医療と介護が連携した地域包括ケアシステムで利用できるプラットフォームになれば、大規模病院と連携する医療機関もおしなべて業務効率があがり、利便性が高まります。プラットフォームは便利になり、利用する人や場所が増え、さらに機能が加わることでさらに便利になるというサイクルを継続することでネットワーク効果が生まれ、プラットフォームは広がりと成長を生むとされています。まだプラットフォームの事業主体が明確に定まっていない中で、10年目を迎えたとびうめネットが2030年を通り越した、10年先の持続可能な医療とそれを取り巻く環境を見据えた時、新しい時代に適合した形を先取りめざしていくことが必要ではないかと感じています。とびうめネットが病院だけでなくすべての医療機関の経営改善にも役立つ医療Dxのプラットフォームとして再構築され、ほかの県医師会から国の医師会レベルまで広げていきたくなるような事業にステップアップするまさにその時だと考えています。

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