
:0105 『広告 Vol.413 特集:価値』の感想
たった1円の本は679ページもあるアンソロジーだった
価値 価格 新しさ 無用 コスト 評価
これら6つの観点からあらゆる専門家が時代を語る。
漫画雑誌のように断層が分厚いのは、基本テキストは見開きの右のページにしか書かれていないからだ。小口の余白は5mmほどと小さい。ときどき左のページに写真や図が載る。製本が特殊で読みにくいかもしれないが、1円の本なのでよくできているほうだ。内容が良いので1200円は払いたくなる。
現在は古本市場で3000円以上で流通している。この本自体にわたしたちは価値を問われている。
33もあるコラムから
『無料2.0 図解で読み解く新たな「無料」のしくみ』
『本当の請求書』
『権威によるアワードは必要か グッドデザイン賞の存在意義』
の3つを抜粋して紹介する。
無料2.0 図解で読み解く新たな「無料」のしくみ
ビジネス図解研究所(現 図解総研)のコラム。無料2.0があるということは、無料1.0がある。
無料1.0とは
①直接的内部相互補助(ドミノ・ピザやカラオケ)
おまけが無料。
②三者間市場(FacebookやYouTube)
閲覧は無料。ユーザーは広告を閲覧する。広告出稿は有料。
③フリーミアム(ソシャゲ)
多くのユーザーは無。一部ユーザーはレアリティ獲得のために有料。
④非貨幣市場(WikipediaやLinux)
完全無料。一部ユーザーは進んで寄付。
無料2.0とは
上記4つのハイブリットのこと。
わたしも「詩を売ること」をよく考える。個人では①と④は可能だろう。この4パターンを知っていれば、無料2.0の時代もマネタイズを考えやすくなる。
仮に今よりも何十倍も知名度を得て、アンソロジーを主宰する側になれば、②の手段を取れる。印刷会社・出版社など広告の収益で印刷費を賄い、寄稿したひとに報酬を払えるようになるのが理想だ。しかし、詩にはそこまで読者がいないのが問題である。③はインターネットで詩を公開するときにいいだろう。このnoteで途中から有料のnoteを書けばそのパターンだ。
本当の請求書
武井祥平さんのコラム。特にフリーランスのクリエイターは必読。やりがいがあるプロジェクトであれば請求額を減額し、人間関係で疲弊すれば請求額を増額する。通信簿のような請求書が提案されている。
「相場ではこのくらい」だけでなく、
スキル向上ができた・将来の仕事につながる人脈が広がった・倫理的に快い仕事ができたなら、請求額を減額。
コミュニケーションが煩わしかった・仕事を妥協させられた・プライベートでの辛い出来事が重なったなら、請求額を増額。
それでいいのだ。同人誌の販売だってそうだ。今度は販売額の内訳のグラフにきもちを足そう。とても制作がしんどかったら、当初より100円増額する。その言語化した請求書をクライアント・取引相手・販売相手に見せることで、わたしの仕事だけでなく関係者の仕事ぶりもよくなる。デザインできる。
権威によるアワードは必要か グッドデザイン賞の存在意義
柴田文江さんと藤崎圭一郎さんのコラム。私が前職でデザインしていたサービスはグッドデザイン賞を受賞している。応募されたものの3割は受賞するのはアワードでは高確率だ。
なぜ3割も受賞するのか
「私たちが思い描く未来にふさわしい」という視点で審査していくと3割になると柴田さんは語る。
それだけまだ世間に見つかっていないだけのグッドデザインは存在する。SNSは議論の場になっていないから、変化しながらでもグッドデザイン賞が存在する意味はあるとのこと。
議論の参加者が外野からいくらでも入るといい・わるいの基準がいつまで経っても定まらない。そう考えると権威も必要だと思った。そして前職で携わっていたサービスの評価をしてもらえた理由が、わたしの予想通りそのまま書かれていて安心した。