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:0060 詩集 生きてやろうじゃないの! 感想
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夫に先立たれた
築50年の家が濁流に襲われた
大切なものがなにもかも消えた世界。地域に生きていた野菜や牛などすべての生命にも寄りそって嘆く。家の片付けをしているときも、目のまえで生きている震災猫を世話しているときも「意外といい夫だった」と思いだす。夫を亡くした痛みと震災での痛みがいっしょに癒やされる。震災によって人生を捉えなおせた幸せな晩年の実話。
わたしの祖母は夫に先立たれてから時間が止まってしまっているので、よく「生きよう」となったなと思いました。
共感しやすい「こうあってほしい」
この詩集を書いた武澤順子さんの息子さんは日テレのチーフディレクターをしている忠さん。だから『スッキリ!!』で取り上げられて一般層にもひろく浸透している。
息子さんがテレビ局に勤めていなくても、そのうちに話題になっていただろう。東日本大震災での痛みが「いい未来に繋がりますように」と願うひとがたくさんいるから、詩集が3冊しかない店頭にも選ばれて並ぶ。
わたしが詩集を書くときに、だれかの「こうあってほしい」に触れることができるテーマはなんだろう。
自然に還され励まされ
「なぜわたしは生き残れたのか」の理由なんて後付けかもしれない。夫が亡くなったら、ただ家を守ろうとしていたばあさんが「なるようにしかならない」と考えを改める。
わたしだって、いつ自然災害に巻き込まれてもおかしくない。「なるようにしかならない」と非常用バッグにこの本をしまいたい。
振り向けば いばらの道を貫きて
八十路のいのち 今もつなぎぬ
蒼き空は高く 雲一つなし
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