舞台「ラビットホール」を観てきました♡
これまで観てきた舞台といえば、華やかでザ・エンターテインメント的な、「ショー」のようなものばかりで、「会話劇」というのは初めてでした。
たくさんたくさん会話はされているのだけど、言葉とはうらはらな気持ちがありありと垣間見えて、「本当の気持ち」の部分は沈黙で深~~~く表現されていくようで。
感情の動きがこんなに細やかに表現される舞台は初めてだったので、とても新鮮でした♡
重いテーマ、重い感情を、重いまま描かれていくのが、とても良かったです。
演者さんたちが、丁寧に詳細に感情の動きを表現されてるところに、とても感動しました。
舞台上で繰り広げられるのは、どこまでも日常で、よくある場面といえばそうかもしれない。
「ああ、わかる!」「あるよね・・・」と言いたくなるような会話ばかりだし。
ただ、その日常の中で、奥底に静かに横たわっているのは、「圧倒的な喪失体験」であり、それが常につきまとい、ちょっとしたことが癇に障るような空気を醸し出してしまっているのは、切ないなぁ・・・と感じました。
悲しみが深過ぎると、人ってこんなにもやり場のなさを感じて、相手をどんなに思ってもことごとくすれ違い、泣くことすら喚くことすらできず、淡々としてしまうものなのかもな、と。
そんな息が詰まりそうな家族の日常の中に、ひとりだけ他人として、あり得ない登場の仕方であり得ないことを言う(笑)、異質な空気を纏ったちょっと挙動不審な少年は、何とも独特で、空気読めなくて、突拍子もないんだけど、どこかみんなの気持ちを繊細に感じ取っているような。
歩き方、佇まい、話し方、すべてが「異質」で独特。絶妙な空気感でした。
だけど、そんな彼の在り方が、家族が抱える重さや、どこにも出口が無いと感じてしまうようなやり場のない気持ちを、
まるで救ってくれるかのように、ラビット・ホールという概念を通して、新たな可能性を見せてくれて、新たな世界へ連れ出そうとしてくれる、「転生」を感じさせる天使みたいに見えました♡
(異質なジェイソンくんだけがダブルキャストなのも、なんか分かる気が)
だから、本来ならあって当たり前なはずの、家族が彼を「本当の意味で」責めて糾弾するような、感情や場面が出てこないのかなーと思ったり。
静かだからこそ深ーーーく繊細に感じる、舞台の新たな魅力を教えてくれた、とってもステキな作品でした♡
終わった後、家に帰ってからも、演者さんや演出された方の想いを知りたくなって、パンフレットを隅から隅まで読んでしまいました。
登場人物が5人だからこそ、皆さんでたくさんたくさん意見を出し合って、丁寧に丁寧に創り上げられた作品なんだな~~と、そこにも感動♡
ひとりひとりの背景や設定が、最初に事細かに決められているというよりは、演じられる方がそれぞれに、空白・余白の部分を想像されて持ち寄って、とにかくたくさん話し合った!それが楽しかった!とおっしゃっていて。
素人な私からすれば、そもそもあれだけのセリフを覚えておられるだけで本当にすごいのに。
そのタイミングで、なぜ、その言葉をその人が発するのか。
なぜその表情で、顔の向け方で、その声のトーンで、その歩き方で、そんな仕草をするのか。自分だけでなく、相手との関係性やお互いの気持ちの動きなどまでも。
(しかも舞台って映像みたいに撮り直しできないですもんね)
そんな、見る側にとっては計り知れないところまで、詳細に思いを巡らせて演じておられるのかと思ったら、あらためて、役者さんてすごいお仕事なんだな~~~!と、感動を通り越して、もう感服でした♡
ぜひぜひ、観に行っていただきたい作品です!