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次男と車

少年院を出た次男は無事に免許を取得した。
そしてあっという間に仕事も見つけてきた。
どこから見つけて来るのか分からないが、
ハローワークや履歴書などとは無縁の次男だった。

仕事にも行き、家にもお金を入れ新しい生活が始まった。

次男は時々家の車を貸して欲しいと言い、大きなワンボックスを運転して遊びに出かけた。
自分だけの空間で音楽を聞いたり、友達と遠くまでドライブに行くのは楽しそうだった。
保護観察中のため遅くならないようにだけ言い夫も車を使わせていた。

ある時車を車検に出した。
きれいに整備されて戻ってきた。
翌日に夫が車を見た時にはサイドミラーが割れ側面が凹んでいた。

次男に車を貸した際に自損事故をしたらしかった。
誰も怪我させずに自損で済んだことは不幸中の幸いだったが、車検の済んだ次の日というタイミングが次男らしいというか、私たちが試されているというか、もはや何の意味もないのか、よく分からないがそういうことだった。

夫は次男と一緒に車屋へ行き修理の見積もりが出るまでの流れをあえて見せた。
金額はかなりした。

次男は
「会社の先輩が安く直してくれるっていってたから先輩に頼もう。」と言った。

夫はボコボコになった車を一刻も早く直したいのが本音だと思うが、次男なりの考えがあるならそうしようと言ってくれた。

先輩は車の修理が本職ではなく休みの日に趣味程度でいじっているらしく、なかなか話は進まなかった。

私達はレンタカーを借りたりして次男を尊重しようと待ったが状況は止まったままだった。
車はボコボコのまま。
さすがにもう待てなかった。
夫が少しイライラしはじめ結局先輩には頼まずに直した。

…いつも絶妙なタイミングで何かあった。
旅行の前日、車検の翌日、厄払いしたその日。
万事塞翁が馬と思うしかなかった。

#家族 #車 #運転免許 #自損 #息子 #保護観察

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