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もちつき大会、やるよ

おきにいった
おきにゆく

 囲碁の言葉かな、なんとなく囲碁から出てきた用語のようだ。知らんけど。麻雀?すぐにググる性質だけど、そんなことはどうでも良い。

 芸人が好きだから、オードリーの若林さんとか有吉さん、千鳥の大悟さんの言葉をよく拾う。トークの掛け合い、受け渡しの絶妙なバランスと駆け引きに押し殺した唸り声が洩れる。彼らの、極々まれなんだけど、「あー、おきにいっちゃったよ」を聞き逃さない。落とす意味で使う場合もあれば、本気で後悔している節が見える。正解じゃなかったんだよねみたいな。もっと笑いを誘えたのに、安全策をとった挙句、薄ら笑いに終わった時。ともかく引出しの多い芸人さんの中でも、上に挙げた御三家はどんなニューロンこさえてんのかと思う。ライブのトークは外すことがない。入力したワードを刹那に切り返す。幾通りの太刀筋から最適な解を選ぶとき、何かが頭を過ぎる。

いいとこ見せたい。
さすがは若林と思わせたい。
(若林さんごめんね)

とりあえずこの辺で方向変えたい。
思惑が錯綜しその場が壊れないワードを選ぶ。

それが、おきにゆく。

 芸人じゃなくても、ビジネス、地域社会交遊でもその場が訪れる。
修羅場とは言わない。地域のリアルな現場で命取りになるようなフレーズは使えない。けど、その場を和やかに置きたいと意図し発信する。
結果、いまでも悔やむ、違う返しができたんじゃないのか。
おきにいった。安パイをきった。振り込まなかったけど手が悪くなった。
年齢を重ねている。こんな雑な文章を惜しげもなく見せているが還暦を回った。このくらいになると、暴動を起こしたくない、喧嘩にならないような言動に傾き、つまらなくなる。
 起死回生とまでは言わないけど、おきにゆくアイデアと同時にアナーキーなイメージが重なっている。その真っ赤な風船を膨らませ、しれーっとした模範解答を押しのけるまで育む力がない。常に答えは複数ある。おきにゆく回数が増えたのは歳なのかなあ。
そんなことばかり、考えて、ここんとこ耽っていた。

いつになく前置きが長くなった。
まずはチラシ、ご覧ください。

湯久里倶楽部もちつき大会チラシ

 昨日の午後、チラシをもって、あずきさんが里山にやってきた。あずきさんというのは、湯久里倶楽部の仕入れを任されている人材。三ツ木あずき。2020年、俵山に移住し4年目。この短期間でやっかいな温泉街の人間世界に溶け込んだ。「やっかいな」という、お世辞なのか悪口なのか、どっちともつかぬ言葉をはめ込んだのには訳があるが、わたしと直近の関係者にしかその領域は共有できない。ともかく、彼女が湯町に来てからの行動力、発言力は、控えめな二十歳が増えた現代から見ると異質だった。が、ふた昔前はこんなんばっかりです。今の学生さんは、おきにゆくことに麻痺している。
 あずきさん、もちつき大会やるって決めて、すぐチラシを作って、関係者の許可とって、それで拡散ー、とばかり地区内を走ってきたのだろう。
想像です。

 彼女が湯久里倶楽部の仕入れを変え、レイアウト、陳列、販促、POP、ヴィジュアルを見直した。わたしは昔、小売業界に籍をおいた者だから見えるものがある。彼女は独学。若いからできるというレベルではない。湯久里の売上が上がり始めたのは、コロナ戒厳令下の3年が終わっただけじゃない。3年間俵山を訪ねなかったビジターは、もう戻ってこない。湯久里だけじゃなく、俵山ビレッジのメンバーや、SD-WORLDがビジターを繋ぐチャンスを作ってきた。この3年は永久凍土じゃなかった。
 あずきさん、4年目を迎えて深く地域と結びつく。そうすると迷いが起こることがある。おきにゆくか、危険を冒すかって。悩んで当然だし、衝突は起こる。今がそうかもしれないけど、脚があがらない彼女を見た。彼女と湯久里倶楽部、期待してください。