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非性愛者とは&よくある誤解

こんにちは! へんぷくです。

今回は広義の無性愛の一つ、「非性愛」についてご紹介します。

当事者はもちろんのこと、自分がそうかもしれないと思っている方や理解を深めたい方にも参考になる内容になっていると思いますので、ぜひ最後までご覧ください!

非性愛と無性愛

まずは大前提として、非性愛とは「狭義の無性愛」との対比で語られる言葉であるということを覚えておいてください。

ここでいう「狭義の無性愛」というのは、どの性別に対しても性的・恋愛的などの魅力を感じない人のことを指しています。

一方、非性愛は「ノンセクノンセクシュアルノンセクシャル)」とも呼び、性的魅力は感じないものの、特定の魅力(多くは恋愛的魅力)は感じるという人を意味しています。

「無」と「非」。類義語のような一字が違うだけで、なぜ意味合いが異なってくるのでしょうか? その答えは、この熟語の成り立ちにあります。

異性/愛? 異/性愛?

突然ですが、「異性愛」という熟語。これ、どこで切るでしょうか。

………
……

正解は、「異性」です。つまり、「異性すること」を指す言葉なんです。異性との恋愛を「異恋愛」と言わないことからも、「異/性愛」ではないことがうかがえます。

同じ時期に成立した「同性愛」という言葉も、「同性すること」を指す「同性」であって「同/性愛」ではありません。「同」とだけ書かれても、何が同じなのか分かりませんしね。ここから派生した「両性愛」「無性愛」についても、同様の理由で「性愛」とは関係ないと考えてよいでしょう。

共通点はどれも相手の性別による分類、つまり「性的指向」であることです。(ここでは伝統的な解釈に従い、「性」を「性別」の意味で使っています。念のため)

さて、ここまで読んだ方は、なんとなく察しがついているのではないでしょうか。

そうです。非性愛と狭義の無性愛の決定的な違いは、「性的指向」に含まれるか否かなのです。愛する性別を判断基準とするのが性的指向なのに対し、非性愛は「性愛」すなわち性愛ざる魅力を感じるかどうかによるカテゴリです。

広義の無性愛は「ある魅力を感じないこと」が定義ですのでどの魅力を感じないのかは関係ありませんが、非性愛はその中でも魅力のかたちに着目した「性的魅力を感じないことによる無性愛」を意味するのです。

厳密には性的指向に含まれない概念ですので、「異性愛・同性愛・両性愛の非性愛」のように性的指向と書き並べて使われることが多いです。「性的魅力については無性愛、それ以外の魅力(主に恋愛的魅力)については異性愛・同性愛・両性愛」という魅力のかたちをシンプルに表現できるため、使いやすい表記ですね。「性的魅力は感じないけれど恋愛的魅力には惹かれる」というイメージを持っていただければ良いかもしれません。

非性愛者の恋愛

非性愛者は性的魅力を感じることがないため、たとえ恋愛をする仲になったとしても、自然と「その先」へ進むことはありません。相手の優しさや面白さ、共通の趣味や価値観といった、二人の絆を深めるうえで大切な要素はたくさんありますが、性的魅力をその一つとして捉えることがないのです。なかには性行為を望む人もいますが、性的魅力に突き動かされてではなく、相手が望んでいることを満たすために行うといったケースが多いとされています。こうしたケースにおいては、相手を満足させることに喜びを感じる場合があります。

しかしながら、性的魅力に基づかない恋愛関係は理解が得られない場合があります。周囲からのプレッシャーや誤解に悩んだり、心無い言葉を浴びせられたりして、精神的な負担を抱えることも珍しくありません。非性愛者が恋愛関係においてうまくいくためには、相手に自分自身の気持ちをしっかり伝える必要があります。自分の中の恋愛観を伝えた上で、お互いに納得して一緒にいられる関係を築けるといいですね。

よくある誤解

最後に、「ノンセク」という言葉からあまり良い印象を受けないという指摘について触れておきます。これは最近インターネット上を中心に広まっているもので、一部では自認に使用することは避けるべきとの意見まで出始めています。

ですが、この単語が生まれた背景には当事者の方々の強い意志があり、それを理解しないままレッテルを貼ることは適切ではないと思います。自認したい言葉で自認する分には何ら問題ないはずですし、そもそも「理由」として掲げられる主張が事実に反するものばかりだからです。(筆者が見たことないだけで、正当な主張もあるんですかね? 情報求む!)

・(誤)ノンセクは和製英語で、英語圏では通用しないから
英語圏には自分の指向を表現する新用語を気軽に造語・宣伝する文化がありますので、いつ誰が作った造語でも歓迎されます。

・(誤)ノンセクはもともと否定的なニュアンスの用語だったから
2000年代のセクシャリティ用語集を調べましたが、そのようなニュアンスは確認できませんでした。

・(誤)ノンセクはアセクではないというイメージの強化につながるから
ノンセクとは、広義アセクシャル (asexual) のうち狭義アセクシャル (asexual-asexual) でない人のことです。

・(誤)ノンセクがアセクを名乗れなかった時代を肯定することになるから
そんな時代は無かったので安心してください。

・(誤)nonsexualには「性的でない」という意味しかないので、「私はnonsexualです」という表現は英語として意味不明だから
12問の質問の点数によってアセクシャルの度合いを測定する 「Asexuality Identification Scale」には、「nonsexualという語彙は、私のセクシャリティを正確に説明している」という設問があります。

・(誤)ロマンティックという言葉があるのに、新しくノンセクという言葉を造る必要はないから
ロマンティックとノンセクは同時期の造語です。

・(誤)nonsexualは「思春期前で性的指向がない」を意味する心理学用語だから
『心理学辞典』にはそのような用語は見当たりませんし、違う分野の用語と被っちゃいけないならasexualも使えませんね(もともと生物学で 「性別のない」の意味)。

以上、簡単にまとめましたがいかがでしたでしょうか。非性愛を理解するためには、人々が異なるタイプの恋愛感情を持つことを認め、受け入れることが不可欠です。そして、その上で自分がどのような感情を抱くのか、自分のしたい恋愛・したくない恋愛はどんなかたちをしているのか、ということを考えていく必要があるでしょう。

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