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アセクだけじゃない! 無性愛の英訳

こんにちは! へんぷくです。

アセクシャル、ノンセクシャル、アロマンティックなど、さまざまに表現される「無性愛」。しかし、無性愛と一言で言っても、その内容やニュアンスは人それぞれ異なります。  たとえば、「性的魅力を感じない」という人もいれば、「恋愛感情がない」という人もいます。この違いを、英語ではどう表現するのでしょうか? 日本語では一括りに「無性愛」とされることが多いですが、英語圏ではもっと細かいニュアンスを反映した単語や表現が使われています。  

この記事では、無性愛に関連する英語表現のバリエーションをご紹介していきます。自分の気持ちや感覚にしっくりくる言葉を見つけたい方はもちろん、無性愛についてもっと深く知りたい方も必見です。  

それでは早速、無性愛に関する英語表現の世界を一緒に探っていきましょう!

Asexualアセクシャル

英語圏で最もよく耳にする言葉が「Asexualアセクシャル」です。この言葉は「性的指向がないこと」を指します。具体的には、いかなる性別にも魅力を感じない人々を表現するために使われます。  

たとえば、ある人が「友達としては好きだけど、性的に惹かれることはない」と感じたとき、その人は自分をAsexualと定義するかもしれません。この言葉は性別による魅力を感じないことを中心に据えた概念ですが、それ以外の魅力を完全に否定するものではありません。例えば、友情や知的なつながりには深く魅了される人もいます。  

Asexualの対義語として「Sexualセクシャル(性愛者)」や「Allosexualアロセクシャル(他性愛者)」という言葉があります。これらは、性別による魅力を感じる人々を指します。

一般的に、「有性愛者」という日本語は使用されません。

A-


A-」で始まる一連の単語は、無性愛という広い概念の中でも特定のサブカテゴリーを示す表現です。前述のAsexualという言葉が一般的に「魅力を感じない」ことを指すのに対し、「A」シリーズは、さらに細かくその感覚を分類するための用語です。このシリーズにおける「-」の部分には、具体的に「性的セクシャル」や「恋愛的ロマンティック」といった魅力の種類が入ることによって、無性愛の理解をより細かく、そして具体的に表現できるようになります。  

このような表現が意味するところは、いかなる性別に対しても、特定の「魅力」を感じないということです。ここで重要なのは、単に「魅力を感じない」と一言で済ませるのではなく、どの種類の魅力について言及しているのかを明確にする点です。たとえば、性的魅力とは、性的な欲求や興味を抱くことを指し、恋愛的魅力とは、相手に対して恋愛的な感情や関心を持つことを意味します。これらは、無性愛者の中でも異なる感覚や経験に基づいて分類されることが多いです。  

具体的には、性的魅力を感じないAsexualアセクシャル、恋愛的魅力を感じないAromanticアロマンティック、友情的魅力を感じないAplatonicアプラトニック、接触的魅力を感じないAsensualアセンシュアル、美的魅力を感じないAaestheticアエステティック、代替的魅力を感じないAalterousアオールテラス、情緒的魅力を感じないAemotionalアエモーショナルなどが、無性愛の中で特に重要なカテゴリーとして挙げられます。

「いかなる性別にも魅力を感じないこと」と「性的魅力を感じないこと」が同じAsexualで被ってしまうため、英語圏の文献を読み解く際にはどちらの意味で使われているのか注意する必要があります。

Aroaceアロエース

Aroaceアロエース」は、前述のAromantic(恋愛的魅力を感じないこと)とAsexual(性的魅力を感じないこと)の両方の属性を持つ人を指す略語です。Asexualを「ace」と略すのはトランプのエースとは無関係で、ゆっくり発音すると最初の部分が「エイs」と聞こえることに由来していると言われています。

たとえば、「誰かを好きになるという感覚がわからない」と同時に、「性的関係を持ちたいという欲求もない」と感じる人は、自分をAroaceと表現することが多いです。  

また、「Unitユニット Aroaceアロエース」という表現もあり、恋愛的魅力と性的魅力をまとめて表現したい場合に適しています。 この言葉は「恋愛的および性的」魅力を一括りユニットにして考えることを強調したい場合に使われます。  

Ayエイ

Ayエイ」は、同じくアロマンティック兼アセクシャルを表す略語です。ここでの「y」は特定の単語を意味するものではなく、Aを「エイ」と読ませるための送り仮名として使われています。  

Heterosexualを「Hetero」と略すように、Ayは広義のAsexualを指す場合もあります。このため、「性的魅力」や「恋愛的魅力」を具体的に区別せず、「何らかの魅力を感じないこと」を表現したい人にとって便利な言葉と言えるでしょう。  

たとえば、友人に自分の感覚を説明する際に、「私はAyだよ」と言えば、具体的な説明を省略して広い範囲の無性愛を示すことができます。  

Spadillicスパディリック

  「Spadillicスパディリック」という言葉は、無性愛の中でも特にユニークな表現です。これは「スパディル」に由来し、「いかなる性別にも恋愛的および性的魅力を感じないこと」を意味します。  

この言葉の特徴は、スプリット・アトラクション・モデル(恋愛的魅力と性的魅力を別々に捉える概念)を使いたくない人に適している点です。言葉として恋愛的魅力や性的魅力を具体的に区別しないため、無性愛の幅広い感覚に寄り添った表現となっています。  

「Spadillic」という単語は、AsexualやAromanticほど一般的ではありませんが、一部のコミュニティでは好んで使われています。「恋愛的魅力も性的魅力も特に感じないけれど、細かい分類にはこだわりたくない」という人にとって、非常にしっくりくる言葉かもしれません。  

整理するとこんな感じ

Asexualアセクシャル:いかなる性別にも魅力を感じない
A-:-的魅力を感じない。-には性的セクシャル恋愛的ロマンティック友情的プラトニック接触的センシュアル美的エステティック代替的オールテラス情緒的エモーショナルなどが入る
Aroaceアロエース:Aromantic兼Asexualの略
Unitユニット Aroaceアロエース:「恋愛的と性的」魅力を感じない
Ayエイ:HeteroがHeterosexualの略であるように、Asexualの略
Spadillicスパディリック:「恋愛的」魅力と「性的」魅力を別々に言葉にするスプリット・アトラクション・モデルがしっくりこない人向け

まとめ

無性愛を表す英語表現は、今回ご紹介しただけにとどまりません。実際には他にも多種多様な言葉が存在し、それぞれが異なるニュアンスや背景を持っています。中には、辞書にも載っていないような非常にマイナーな用語もあり、無性愛の世界がどれだけ広く深いかを改めて実感します。  

今回の記事では、特に基本的で知名度の高いものから、ちょっとユニークな表現までを厳選して取り上げましたが、これら以外にも無数の選択肢があることを忘れないでください。たとえば「恋愛的魅力を感じない」ことに限定した英語表現も豊富で、こちらも探ってみると驚くような発見があるはずです。無性愛に関する英語表現を掘り下げることで、自分や他人の感覚やアイデンティティをより深く理解する手がかりとなるかもしれません。  

興味を持った方は、ぜひご自身でさらに調べてみてください。SNSやフォーラムなどで他の無性愛者と意見を交換したり、新しい言葉を見つけたりするのも楽しい方法です。英語表現を知ることで、自分の感覚を言葉で表現する幅が広がり、より豊かなコミュニケーションが可能になるでしょう。それでは、また次回の記事でお会いしましょう!

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