ぼーっとはしてない
「かんかんかんかんかんかんかんかんかんかん」
ベット脇に差し込まれた、アルミの落下防止柵を中指で精一杯叩いてみる。少し上に振り上げてから、あえて第二関節に引っ掛かるようにして溜めを作る。そこから思いっきり、裁判長のハンマーみたいに振り下ろす、できるだけ速く連続させて。
中指が動いてる。規則的なリズムと、程よい爪への
刺激。もっと強く打ってみよう。
打点がずれてアルミ棒を撫でたケラチンの塊は、やり場がなさそうに虚しく止まる。
「こん」
新しい音。打つ場所によってやっぱり違うな。
当たった角度によって力を受ける面が違うから
かな。端の方が円より曲率が潰れてるからかな。