吹き抜けし風のぬけがら枯尾花    長山あや

薄は絵になる。すらりと伸びて風に靡く姿は颯爽としている。繊細な花を咲かせたのちに穂綿となって風に乗る。残された薄が立ち枯れていくのも凛々しい。年がら年中吹きまくっている風の正体はわからないけれど、風の抜け殻は見つけた。地面に這いつくばりながら名残惜しそうに天に向かって揺れ、ついさっきまでここにいた気配を漂わせる。抜け出た凍りつくような北風は、日本上空を翔け、雪や雨と戯れ、縦横無尽に吹き荒れている。