寒林の一樹といへど重ならず 　大野林火

こんもりと生い茂っていた木が、すっかり葉を落とし青空が透けて見える。大地に根を下ろしてから、風雪に耐えながら太陽を探し、風雨に揺れながら枝を伸ばし、生き物が隠れてしまえるほどに育ち、憩いの場を形成する。自然の成り行きに任せられた林は、不思議なことにどこから運ばれてきたのだろうか、いろいろな種類の木が生えており、自然に淘汰され、強くて丈夫な木だけが残る。どの木にも独自の歴史があり、際立つ個性が宿る。