打つ鍬に乗りし土より藷こぼれ    大重三思

薩摩芋を掘った後、意外なところから掘り残されていた芋に出遭うことがある。それは望外の喜びである。収穫を終え、まだ残っているかもしれないと探りを入れながらのそれではなく、時を経てもうすっかり忘れてしまっていいたときには驚きを伴う。ひっそり隠れ、見つけられるまで今か今かとじっと待っていたのか。取り残された寂しさに耐えながら、この瞬間を待っていたのか。見つけられた芋を手に取れば、喜びが直に伝わってくる。