情の濃し山にとどまる赤蜻蛉 角川照子
まとわりついたり、指先に止まったり、蜻蛉は大胆である。人を恐れないどころか、人懐こく一緒に遊びたがる。蟷螂のように目玉が大きく、目の前で指を回転させると、ぐるぐると目玉が指を追う。まったりとした時間が過ぎ、時を忘れる。家の周りに出没し、いつのまにか情が通い合い、この山に棲みつき、離れようとはしない。毎年赤蜻蛉が群れを成し、畔を流れる用水に産卵し、先祖代々自然豊かなこの山を故郷に決める。
まとわりついたり、指先に止まったり、蜻蛉は大胆である。人を恐れないどころか、人懐こく一緒に遊びたがる。蟷螂のように目玉が大きく、目の前で指を回転させると、ぐるぐると目玉が指を追う。まったりとした時間が過ぎ、時を忘れる。家の周りに出没し、いつのまにか情が通い合い、この山に棲みつき、離れようとはしない。毎年赤蜻蛉が群れを成し、畔を流れる用水に産卵し、先祖代々自然豊かなこの山を故郷に決める。