手になじむ道具いくつか白粉花     堀之内長一

道具を長い間使っていると、持ち手の柄が握る手の形に寄り添ってくる。強く握る部分が微妙にへこみ、握りやすくなる。包丁など長い間使っていると、普通のサイズだったのが全体に縮んだように小形になっていく。経年劣化し、擦り減っていくのである。鋤や鍬や鎌も同様に、何十年と連れ添っていると、手触りが柔かく馴染み、吸い寄せられるように息がぴったり合ってくる。白粉花の穏やかな優しい香りに包まれ、仕事がはかどる。