亀鳴くといふ俳諧を捨てきれず    升田夏虫舎

数えきれないほどある季語の美しさに魅了される。それだけでも俳句に触れるだけの価値がありそうだ。亀鳴くという仮想現実は、この世を静かに透徹する。何でもありの世界において、人は何を夢想するのだろうか。真善美の極致を描こうとするところにこの世界の存在意義がある。その人の本性がむきだしになるにもかかわらず、吐き出さずにはいられない。とり憑かれている証拠である。何度も振り落とし振り落とされそうになりながら。

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