二兎を追ふほかなし酷寒の水を飲み  有馬朗人

二兎とは、若者への科学の普及と俳句の国際化を自らの仕事と課した大きな夢である。厳しい状況の中にありながら、決して弱音を吐かずまっしぐらに突き進む気迫が感じられる。少しもブレない。自分で自分を追い込み、高みを目指す。一つを極めることすら至難の業であるのに二兎を追うとは、どちらか一方を諦めるという選択肢を与えないということである。自らが下した重い決断を鼓舞するかのように酷寒の水が五臓六腑に沁みわたる。