冬蝶の日向の色となりにけり 二宮千鶴

草の葉にぶら下がっている蝶を見かけることがある。草木の色や様子を眺めながら、全体の中の個の変化を確かめている。すると、おやっと思わせる生命力を感知する。露でもなく虫でもない。近寄って見ると翅を閉じた蝶だ。全身に冬の日を浴び、サンルームの心地よさを味わっているようだ。生まれてきた不運をどのように克服していくのだろう。折りたたまれた翅が抱える苦悩を知る由もない。暖かい日を存分に享受して今を生きている。