ひろびろと日の落ちかゝる刈田哉    正岡子規

田植えから日に日に育つ稲の様子をまじかに見てきた。青い苗が逞しく育ち、花が咲いてつぶらに輝く実を膨らませ、頭を垂れる重みにもうそろそろかと日増しに期待が膨らむ。そしてとうとう稲刈りが行われたあとの刈田を見て、豊年満作の充実感が心を満たす。すっきり刈られ、今まで在ったものが無くなったあとには広々とした空間が広がり、日が暮れようとしている。まるで映画のフェードアウトのように呆然とエンディングを迎えた。