初富士の暮るるに間あり街灯る 深見けん二

関東平野が大きく視界に入ったころ、機長のアナウンスが入った。「管制塔から、羽田空港が混雑しているため、30分ほど上空で待機せよとの指示がありました。」やがて大きく翼が傾き、夕陽に輝く富士山が見えてきた。いつもは手のひらサイズの富士山が、次第に小さな窓におさまりきらないジャンボサイズになり、すらりとなめらかにどこまでも裾野を広げ、橙の輪郭にくっきり聳えていた。富士は世界一の山。自然の創り出した最高傑作。