耳もとに蚋ついてくるそんな村    岩上とし子

蚊よりも蚋はたちが悪い。蚊は、針のような口を刺して毛細血管から吸血するのに対し、蚋は、のこぎり状の口で皮膚をかじり、流れた血をすする。対処するには、抗生剤の入ったステロイド外用剤を使う。痒くなる前に毒を絞り出すと痒みや腫れが幾分軽くなる。といっても、限りがあり、蚋の毒は強烈で、約1か月、痒みと闘わねばならない。痛みより痒みは我慢しがたい。村の負のイメージを暴きだしており、秀逸。憎しみすら感じる。

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