赤糸の切れしが冬のはじめなり 赤澤千鶴子

木枯らしが吹き、草木は身を縮め、細胞の気孔を塞ぐ。生きとし生けるものにとって冬を乗り切れるかどうかは、死活問題である。その厳しい冬には、はっきりとした境界線がある。たとえば、赤い糸がぷっつり切れたときからはじまる。赤といえば、太陽に象徴されるようにあたたかい。そのあたかさが遮断されたところから冬が始まるというのである。一日が生きるということに直結し、真剣に向き合わねばならない。玄冬の入口である。