着ぶくれて手軽に人を宥さざる 山田みづえ

宥(なだ)めるという字に「ゆる」というルビをふっている。宥めるとは、怒っている人、くやしがっている人などをたしなめたり慰めたりして、穏やかに済むようにとりなすことである。寒さから身を守るために何枚も服を重ね着して着ぶくれていると、気持ちにまで影響を及ぼし、頑なになってしまい優しさが失われてくるというのである。いつもと違うちょっとした変化に気づくことができれば、修正することも可能である。