ひと駅の乗車旅めく桐の花 川村紫陽

桐の花は、高いところに神楽鈴のように咲く青紫色の高貴な花である。家紋にも選ばれる。知らないうちに花が咲き終わってしまい、散り敷かれた花によって気づかされる。高いビルや高架を走る電車からだと見つけやすい。一つ先にある駅の近くで見つけた桐の花のことが忘れられない。桐の花が咲くころになると、わざわざその花を見るために電車に乗る。目の前に広がる見慣れた風景に、いつもと違う一点に注目する。桐の花が美しい。

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