濁流のしぶくところに栗の花     上田五千石

栗の花は、線香花火のように四方八方に優雅に泳ぐ花である。青々と茂る葉が真白い花で覆い尽くされ、潮風に吹かれてふわふわ揺れる。渦巻く濁流の波しぶきが噴きかかる絶壁に、生臭い匂いは吹き消され、栗の花がゆらゆら揺れる。青い空と紺碧の海に、波しぶきと栗の花の純白が爽やかな色彩のコントラストを成す。激しい波しぶきの音も次第にかき消され、この瞬間に生きている実感を味わっている。嗚呼絶景かな。男気が湧き起こってくる。

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