反故焚いてをり今生の秋の暮 中村苑子
庭の片隅で書き損ねて無駄になった紙を焚いている。燃える炎を見つめながら、とりとめもない物思いに耽る。最近の出来事から遠い過去にまでさかのぼり脳裡を掠めていく。なぜか火を見ると穏やかになり、ものごとはすべてゆらめいて、ぼんやりとしてくる。白黒はっきりさせなくて良いのである。なにをくよくよ悩むのであろう。自然が身を整え、実りの秋を迎えようとしている。人もまた充実の今を存分に享受したいという境地に至る。
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庭の片隅で書き損ねて無駄になった紙を焚いている。燃える炎を見つめながら、とりとめもない物思いに耽る。最近の出来事から遠い過去にまでさかのぼり脳裡を掠めていく。なぜか火を見ると穏やかになり、ものごとはすべてゆらめいて、ぼんやりとしてくる。白黒はっきりさせなくて良いのである。なにをくよくよ悩むのであろう。自然が身を整え、実りの秋を迎えようとしている。人もまた充実の今を存分に享受したいという境地に至る。
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