校庭の柵にぬけみち冬あたたか 上田五千石

校庭の掃除当番だった。土管に突き刺してある竹箒を抜き取り、落ち葉をかき集め、竹で編んだ草箕に入れて校庭の隅に掘られた穴に放り込む。この一連の作業が好きだった。運動場を見渡す解放感に学校生活のもう一つの世界を味わっていた。野球部のバックネットの裏あたりに抜け道があり、人生の縮図を垣間見ていた。作業のbefourとafterが一目瞭然、仕事のやり甲斐があり、頭脳労働とは違った肉体労働の爽快感があった。