行く春やきのうの敵はいまも敵    南村健治

ビッグバンによる宇宙の誕生以来、ときは流れ続けている。月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也とはなんという名言。時は流れ、すべては変化する。その流れに人は逆らえないというのである。ところが、その宇宙の原理に反する事例として、意識する敵の存在を挙げる。我が敵は、多感な春が過ぎようとするとき、依然として存在し続ける。敵とはいったい誰を指すのであろうか。プラトンやニーチェのいう己自身であろうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?